ツーリングレポート(覚え書き)
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2004年9月12日(日)
60 初タイトル【天竜川WWF・ファンスラローム】(天竜川4)

水位:-0.29m(市田) 気温:30℃ 天気:晴れ
区間:阿島橋〜時又港 メンバー:ソロ

 今日という一日の始まりはラジオ体操から。ちなみに、参加しない場合はペナルティで300点加点とのこと。何じゃそら。
 競技開始時刻が近づいてきたので、スタート地点に向かいます。出艇は昨日のタイムの早い順ということで、私がトップバッター。
 フネに乗る前に、まずロープ投げをやります。立ち位置からおよそ5m先、スヌーピーがフネに乗った絵がパイプ椅子の上に設けられています。大きなお世話ですが、版権は大丈夫なのでしょうか。
 ルールは、投げる際に「ロープ」と声を出してから、スヌーピーに直撃、乃至は上を通過させればOKというもの。失敗は30ポイント加点なのでかなり大きいです。
 しょっぱなということもあり、周囲には人だかり。
 「3・2・1、スタート〜!」
 スローバッグが軌跡を描いて宙を舞う。
 バッグは、スヌーピーの上1mを通過。同時に、周囲からは「おぉ〜」というどよめき。
 昔から、コントロールは良かったんですよね。ラフトガイド時代の経験がこんなところで活かせました。
 勇んでフネに乗り込み、いよいよスタート。
 あ、投げるときに「ロープ」って言うの、忘れてた…。そういや、「声を出さない場合は30点加点する」って書いてあったような…。それって、失敗したのと一緒じゃん!
 はぁ。気を取り直して漕ぎ出すと、パドルのキャッチがどうにもおかしい。シャフトの角度をつけ間違えていたんですね。完全な凡ミスです。このままの角度で漕ぐのはかなりキツイので、漕ぐ手を休めてつけ直し。どうにも、出だしは最悪です…。

 今日はファンスラローム。昨日と同じ、阿島橋から時又港の9kmの区間を、ゲート通過その他諸々の難関を越えて漕ぎ進むルールになっています。ゲートは、弁天橋に二箇所、水神橋に一箇所、天竜橋に一箇所。昨日より水位は若干下がっていますが、相変わらず水量豊富なため、油断は禁物です。
 やがて、弁天橋が見えてきました。手前が大きな瀬。早くゲートを見つけたいのですが、波を越えるのに必死で周囲を見渡す余裕がありません。橋ギリギリまで近づいてようやく、左岸側にポール発見。近付いて、エディーキャッチを試みますが、左岸は護岸ブロックが入っていたため、怯んでリーンがかけきれず、ポールをオーバー。漕ぎ上がるのに、10秒ほどロスしてしまいました。二本目のゲートは、右岸側。フェリーで対岸へ渡り、通過。ちなみに、ゲートといっても、ポールが一本ぶら下がっているのを回転するという方法なので、どこから回ったら「回転」になるのか分からず、どうにもやりにくいです。
 水神橋へ。手前には水神の瀬があって、瀬の最後に右岸側に大きいストッパーができています。なのに、無情にもゲートは右岸側。サファリでは正面突破は難しいので、回避してから右岸に寄りますが、遅れてしまい、またオーバー。漕ぎ上がろうとすると、今度はスタック。もう最悪。地形を知らないというのは、やはりかなり不利です。これで、10秒ほどロス。
 この3番ゲートの下流に「タッチポール」があります。接触不可のゲートとは逆に、こちらは、パドルでタッチすれば成功という代物なのですが、これがまたラフトなら楽勝の高さなんですが、サファリではかなりツライ。
 シャフトの端を持ち、背筋を目いっぱい伸ばして腕を上げます。必然、重心が上がるので、フネはかなり不安定に。沈しないよう気を遣いながら、タイミングを見計らって、恐る恐るパドルを握る左手を天に伸ばします。
 ブレードが空を掴む。あと少し、高さが足りていません。流されながらの作業で、しかもパドルが空中にあるため、バックはできません。チャンスは、実質、あと一回。
 パドルを持ち直し、再チャレンジ。今度は成功。後ろにのけぞる形で、かなり危なっかしい形で、でしたが…。
 南原橋をくぐり、鵞流峡へ突入。
 第一の瀬を無事越えると、果たして昨日沈したボイル&大渦地帯。その左岸側に、飛び込み岩が鎮座しています。
 何もこんなところにせんでも…。絶対ワザとやわ。
 飛び込み岩が見えてすぐ反射的に左岸にエディーキャッチしましたが、これが失敗。強烈なエディーになっていたため、飛び込み岩まで流れを逆走する形でボイル越えする羽目に。またタイムロスです。はぁ。
 フネを停め、飛び込み岩に登り、証明となる通行手形を入手。飛び込みは必須ではない、というか一人乗りの場合、全くのナンセンスなので、来た道を歩いて戻ります。三半器官が揺さぶられたせいか、はたまた疲れのせいか、足取りがおぼつきません。岩から落ちそうになるところを、側にあったロープを掴んで回避。昨日はこのフラフラ状態で沈しましたもんね。そら、キツイわ。
 フネに乗り込み、間もなく現れる鵞流峡第二のクランクの瀬、第三の最後の瀬を慎重に下ります。この最後の瀬の終わりに天竜橋が架かっていまして、左岸側に最後のゲートがあります。これはキレイにリーンをかけてターン。ラストにしてようやくイメージ通りの動きができました。
 無事、ゴールの時又港へ入港。
 ちなみに、後で聞いた話ですが、スローロープ成功者はほとんどおらず、15チームほど見てきた人からによると、成功者は私を含め2チームだけだったそうです。あぁ、もったいない…。

 14時過ぎ、結果発表。この日のファンスラローム結果は1位(2281P)。総合でも1位(4317P)でした。エントリーがたったの3チームで、しかも接戦を繰り広げたわけでもないので喜びは今ひとつでしたが、優勝は優勝。悲願の初タイトル獲得です。
 ライケンカップは二人乗り部門の「ギュンダイV(群馬大学)」が獲得。賞品は、スポンサーのオカモトのRIKENダッキーです。昨日設定した二人乗り部門にも勝つという目標は、このギュンダイが1Pという僅差ながら私を上回る2280Pをたたき出したため、あえなく達成できませんでした。しかしまあ、これで来年出場する具体的な理由ができたので良しとしましょう。
 競技結果発表後は、ジャンケン大会。なんとこれに勝てばダッキーがもらえてしまうという素晴らしいイベントなのですが、ジャンケンで他人に勝った試しのない私は当然の如く初戦敗退。ダッキーは、愛知大学が持っていってしまいました。
 スポンサーのオカモトが今年度いっぱいでラフト事業から撤退するとのことで、来年も同じ賞品が出るかどうかビミョーなところなのですが、ダッキー乗りには数少ないイベントの一つなので、レース自体は今後も末永く続いてほしいものです。
 *結果の詳細はこちら

2004年9月11日(土)
59 入賞確定【天竜川WWF・ダウンリバー】(天竜川3)

水位:-0.24m(市田) 気温:26℃ 天気:晴れ
区間:阿島橋〜時又港 メンバー:ソロ

 阿島橋下の会場に到着したのは、日付が変わる頃。自宅を出発したのは21時でしたから、所要時間は約3時間です。
 何だ、北山行くより早えーじゃん。
 今日は天竜川ホワイトウォーターフェスティバルに出場してきました。ちなみに存在は学生時代から知ってはいましたが、出場は初めてです。
 初日はダウンリバーで、区間は阿島橋から時又港までの約9km。この大会は、先週の北山での大会とは違い、部門が@一人乗り、A二人乗り、B四人乗り、C六人乗り、とはっきり分けられています。私は@一人乗りダッキー部門にエントリーしましたが、出場者は、私含めて3名。
 何だ、この時点で入賞確定じゃん。
 何だか拍子抜けしてしまいましたが、それならば二人乗り部門(7チーム出場)にも勝ってやると勝手に目標設定して、モチベーションを保ちます。
 ゼッケンは、2番でした。前回下ったときは、流れが二又に別れる箇所が三つほどあって、これがまたどっちが本流かビミョーだった記憶があります。しかし2番では、前の人に付いていくことができないではないですか。
 水位は、ここ最近頻繁な台風襲来の影響で、前回下ったときより40cm以上アップしています。多分大丈夫とは思うのですが、鵞流峡辺りは少し気をつけたほうが良いかも知れません。
 10時。いよいよ出艇。ラナはその間、運営事務局のテントで預かってもらうことになりました。
 ゼッケン1番はリンクスU。スタートしてずっと射程圏内に入っているのですが、なかなか追い抜けません。弁天橋下の二又コースまできて、ようやく、追い抜く。
 ここから先はもう、誰もいません。
 水神橋手前の短い二又コースでは、左岸側を選択。右岸側を選択したリンクスUが真横に見え、一瞬ドキッとしましたが、何とか追いつかれずに済みました。
 ゲートのような橋を過ぎ、鵞流峡へ。
 確かここは三つくらい瀬があったかなあと思い起こしながら、漕ぎ進みます。増水の影響で、波が高くなり、川幅が狭くなっている分、流れも複雑になっています。
 第一の瀬と認識していたのは、右岸側コースに隠れ岩がある瀬。岩はなくなって、大きなストッパーを形成していました。もちろん、左岸側に寄って、回避。
 これくらいなら、次の瀬も何とかなりそうかな。
 ここで、気持ちに隙間ができたのでしょうね。
 鵞流峡・第一の瀬と第二の瀬(右にカーブした後現れるハイウェーブの瀬)の間に、小さな、2級にも満たない瀬があります。下り終えた瞬間、両岸からの返し波などの影響で渦が発生し、流れが複雑になっている箇所があって、渦を乗り越えきれず、バウを左に曲げられコースアウト。
 落ち着いて渦から出てからターンすればよかったのですがね。意外な出来事に焦ってしまい、無理矢理コース修正を試みた結果、スターンを食われて、沈。
 体が渦に巻き込まれ、沈み込む。
 ヤバい。浮かない!
 沈した際にサファリを掴み損ね、浮力体の空気注入口を持つのがやっとで、サファリの浮力がうまく利用できません。とりあえず顔だけ出すのがやっとの状態で泳ぎ続けると、何とか渦から出られた模様。すかさず、再乗艇を試みます。体力をかなり消耗したようで、思うように体が動きません。〜〜 !! 気持ちだけが焦るばかりで、もどかしい。
 30秒はロスしたでしょうか。後ろに再びリンクスが近付いてきていました。急いで前を向き、再び漕ぎ始めます。
 あと少し。気持ちを振り絞って、何とか残り二つの瀬はストッパーをことごとく避け、クリア。後ろのリンクスは第三の瀬で沈したらしく、再び差を広げ、ゴール。
 あー、悔しい!
 一瞬の気の緩みが、とんだロスを生んでしまいました。

 18時半に発表された結果は以下の通り。
 @一人乗りの部
 1 ラナの父ちゃん      33分56秒 2036ポイント
 2 HERO HERO        34分25秒 2065ポイント
 3 MBCラフティングチーム 35分25秒 2145ポイント
 A二人乗りの部(上位3チームのみ)
 1 ギュンダイV        33分03秒
 2 波壊団            33分37秒
 3 あどむA           33分52秒

 ちなみに6人乗りラフトで出たテイケイは32分06秒。さすが。
 こちらは、1位だったとはいえ、二人乗りと合わせると、4位まで落ちてしまいます。明日は「ファン」スラローム。同じ区間を、ポール回転4本に加え、タッチポール、スローバック、飛び込みまでしてポイントを競います。がんばるぞー!

2004年9月5日(日)
58 滑り込み入賞【北山川ラフティング大会・本戦】(北山川6)

水位:?m 気温:26℃ 天気:晴れ
区間:音乗〜小松 メンバー:後輩1号

 6時起床。二日酔いは、なし。去年と違い、一線を越えずに踏みとどまったのが功を奏したようですが、どうにも全身がダルく、体調は思わしくありません。昨日から足が何度も攣ったりと、疲労がピークに達しているようです。今年、週末はほぼフル出場で、本当、休んでないもんなあ。
 音乗の駐車場でセットアップ。フネ、ギアの類は去年と基本的には変わらずですが、二点だけ改良を加えました。一つは浮力体です。ファルトのスターン側用の浮力体を二つ、サファリのバウとスターンに装着させました。バウ側には明らかに大きすぎるので上部にはみ出しているのですが、結果的に波除けカバーとしてちょうど良い形になっています。昨日のテストランでも試したのですが、オトノリやナイアガラでもノーコン水舟状態になっている時間が明らかに短縮されまして、効果は実証済みです。
 もう一つは、同じくサファリでエントリーしている先輩T氏に教わったのですが、サファリの空気圧をかなり高めたことです。今までバーストが怖くてそれほど圧をかけておらず、そのため大きなストッパーに当たるとバウが折れ曲がっていたりしていたのですが、素材が伸びるんちゃうかというくらいに空気を入れることで、ラフトばりの剛性を得られました。サファリってこんなに固くなるんだ、と驚き。水の抵抗が小さくなるので、コントロールもしやすくなっています。
 ゼッケンは、37番。ダッキーの先頭が20番なので、最後尾に当たります。後ろには強力そうなのもいないので、抜かれる心配はなさそうです。
 いよいよ、スタート。サファリで下れるという自信がついているので、去年ほど緊張はありません。オトノリもスムーズに下れました。まもなく、アキレス艇「女艇1/2」をやり過ごします。遠くにこれまたアキレス艇の「マルコムX」が見えます。次はこれをターゲットに追いかけます。が、ここで早くもバテが来て、力が入らなくなり、思うように漕げません。キャッチする水が重い。
 結局、オトノリの下で見えていたのに、全然追いつけず。シャクシの瀬の手前で向こうがミスしてコースアウトしたおかげ、ようやく抜けました。去年はこの時点で5艇ほど抜いていたような気がするんですが、やっぱ全体のレベルが上がっているのでしょうかね。
 ムササビホール手前でTOMCAT「新艇買っちゃった」組を抜く。この先は、あのパドラーズカフェ組やボケモンといった強豪が漕いでいるためか、誰もいません。こういうバテバテの状態で、前に誰もいないというのは、目に見える目標が立てられないという点で、かなり辛い。後はひたすら自分との戦いとなります。
 無事、ゴール。陸地だったら倒れこみたいほど、今回は心身ともにバテバテでした。
 結果、ダッキー部門の優勝は、うちの先輩T氏。現在、鳥取大のレースラフトチームのコーチをしているのですが、教え子たちも岡山大、一橋大といった強豪を抑え、ラフト部門でリバベンに引き続き、優勝。いやはや、やりますねー。
 去年優勝だった美並カヌークラブは、今年1回しか漕いでいないという調整不足のせいか大幅にタイムを下げ、4位。V6はならずでした。
 私は、去年よりタイムを11秒、縮めることができたのですが、ギリギリ入賞の5位でした。その4秒後にはパドラーズカフェ。アブねー(結果の詳細はこちら)。
 総括すると、去年の優勝、準優勝が4位、5位という結果に終わったことからも分かるように、今年は一気にレベルが上がったなあという印象です。今後はもう、ちゃんとマジメにレース用の訓練しないと上位には入れないですね…。
 今回下って感じたのは、ダウンリバーのスキルは上がっているけど、基礎体力のほう、とくに筋持久力がそれほど上がっていないということ。とくに握力、鍛えないといけないですね。
 もう一つは、パドルについて。去年に引き続き今回もワイルドウォーター用カップ型パドルを使いましたが、このパドル、オトノリ、シャクシなど流れが強力な箇所では存分に威力を発揮させられるのですが、瀞場では重過ぎてかなりツライ。結局、完全に扱いきれるだけの筋力が備わっていないということですね。なもんで、私にはスラローム用などの軽いパドルを使ったほうが合っているかもしれません。
 そうしたことを来年までの課題として帰路につきましたが、どうにも気分がすぐれません。初めは車酔いかなとも思っていたのですが、違ったようで。帰宅して熱を計ると、38度。そりゃ、しんどいわ。

2004年9月4日(土)
57 疲労困憊【北山川ラフティング大会・テストラン】(北山川5)

水位:?m 気温:26℃ 天気:曇り
区間:音乗〜小松 メンバー:後輩1号

 いよいよ北山川の大会。今年は私のラフトガイド時代の先輩や奈良吉野でちょくちょくお会いするパドラーズカフェの面々が出場し、かなりハイレベルな戦いが予想されるので、勘弁してくれと思う反面、胸が躍ります。
 道の駅奥瀞に到着したのは、草木も眠る丑三つ時。本当は今回参加の後輩1号さんと枚方に20時合流の予定だったのですが、仕事を終えるのが大いに遅れ、枚方を23時発となったためでした。すいません、待たせまくって…。
 この日は、テストラン。レースは翌日曜です。今日は2本下ることを目標にしていましたが、どうにも体調が思わしくないため、体力温存策を取り、軽く流して1本下るだけにしました。
 サファリには私。リンクスには後輩1号さんとラナ。前回の蓮川で再びバックリと腹の裂けたリンクスには、今回は水道の蛇口付近に巻くような強力防水テープを施してみました。
 チャリで回送を済ませ、川に下りると、ラフトが喊声を上げて漕いでいます。一糸乱れぬ統率の取れた漕ぎっぷりは見事というしかないですが、何だか軍隊っぽくてイヤです。ラフトの出場数は、昨年の約半分でした。少数精鋭となり、お気楽系が淘汰されてしまったという印象です。北山の大会はまだド素人でも気楽に参加できるノリがあったんですけどねえ。
 午後イチにスタート。最初にして最大の難所・オトノリの瀬は先々週にすでにコースは確定させているので、危なげなく下れました。後ろの後輩1号さんは、過去マトモに下れたことがなく、かなり緊張気味でしたが、うまくトレースできたようです。
 ここからナイアガラまでは長い瀞場。テストランとはいえ、大会前日なので、みなさんマジメに漕いでいきます。一方、こちらはマジメに漕ぐ気まったくなし。フネは流れに任せて漂い、その周りをラナが元気に泳ぎ回っています。あっという間に周囲には誰もいなくなってしまいました。
 結局、終始このペースで下ってしまいました。テストランというよりはいつものツーリングと変わんねえです。とはいえ、一応下るコースは確定させておきました。ナイアガラは正面突破、シャクシは左から回りこんで波を回避して下ることとします。ちなみにリンクスの腹はやっぱりダメでした…。
 のんびり下ったとはいえ、グダグダに疲れていたので、温泉入った後に仮眠。しかし今ひとつ眠れず、結局は後輩1号さんとラフトガイド時代の先輩・Tさんとテント内で、その後はお隣のパドカフェの方々と遅くまで酒を酌み交わしてました。
 焼酎瓶2本がカラッポ。体力温存のために、飲まないつもりだったんですがね…。まあ、後輩1号さんがありえない人になって非常に楽しませてくれたので、良しとしましょう。

2004年8月29日(日)
56 限界以上(蓮川1)

水位:2.61m(三軒家) 気温:25℃ 天気:雨
区間:蓮ダム上流約5km メンバー:KYOKOさんご一行(6名)
蓮ダム流入量33.44m3/s、放流量44.61m3/s (14:00時点)

 また、落ち込み。
 あのリンクスがくの字に折れ曲がってます。その瞬間、渾身の力でフォワードストローク。一回、二回。
 楽しい。次はどんな瀬が待ち構えているんだろう。
 怖い。頼むから早く終わってくれー。
 ラナを落としたらどうしよう。助けられるのだろうか…。
 一瞬の予断も許さない状況で、そんなこと考えている場合ではないのですが、もう何度めでしょう。明確な答えが出ないままに、頭の片隅でずっとループしています。
 不意に右サイドが沈む。リンクスが縦に裂かれた腹を見せ、浮き上がり、右に倒れ込もうとします。
 ここでコケたら、死ぬ。
 大袈裟ではなく、ここでは本気でそう思いました。
 利き腕とは逆の右パドルが反射的に出る。一回。もう一度。ブレイスで何とか持ち堪えました。ラナも無事です。
 メインカレントは左岸側。左岸はコンクリートの絶壁になっています。左岸側からの反転流、右岸側から寄せられる流れが複雑に絡み合いながら、ハンパじゃない水量で流れています。 前方に岩発見。すぐに回避。また落ち込み。今度は二連続。
 加速する。落ちる。折れる。満水。漕ぎ抜ける。また落ちる。  先行してもらっているカヤック二艇が左岸側のエディーにいたので、合流しようと左パドルを挿し、フネを左回転して停止。
 気が付けば、肩で息をしていました。

 降り続く雨の影響で、宮川ダムが夜中2時より毎秒240tの放水を開始したため、29日朝の宮川は濁流と化していました(前日は放水なしなので0t)。それでも平水時何もない区間だったら大したことないから下れるだろうというようなことを話していたのですが、結局、ここから北にある櫛田川の支流・蓮川(はちすがわ)を下ろうということになりました。蓮川は昔、『カヌーライフ』28号でも紹介されたことがあるので、わりかし知られた川なのですが、今回下ったのは紹介された区間よりずっと上流、蓮ダムの、さらにその上流域です。
 蓮ダムへ向かう途上で宮川を見ていたのですが、頭を越えるようなすんごい波が次から次へと立ってるではないですか。この人たちの「大したことない」って言葉は信用できません(笑)。
 同じく「大したことない」と聞いていた蓮川に到着。
 一目見て、キャパオーバーと思いました。これまでたくさんの川を下ってきましたが、そのどのタイプにも属さない川です。
 後半部は右岸に注ぐ大きな支流(江馬小屋谷?)を合わせることによるビッグウォーター。あえて例えるなら、飛騨川・中山七里を思いっきり大きくして瀞場をなくしたかのよう。
 前半部はクリーク。これは、亀尾島川や吉田川、根尾東谷川の核心部が瀞場なしでひっきりなしに続くといった感じです。ちなみに私、「クリーク」って定義がよく分かってないのですが、同行させていただいたエキスパートの方々が「クリーク」と呼んでいたからそう取っていいのでしょう。まあ、ライトなほうとは思いますが。

 出発はおよそ正午。下流にいきなり川の右半分を丸太が塞ぎ、ストレーナーを形成しているのが見えます。
 右岸側のエディーからピールアウトしてすぐに岩。
 流速が強く、加速が全然間に合いません。左に避けるつもりが右に流され、ストレーナーに一直線。見事に、張り付いてしまいました。
 真横になったフネが上流側に傾き出し、ラナが落水。やがてストレーナーのほうが水圧に耐えきれず動いたおかげで体勢を立て直し、すぐにラナを追いかけ、無事、救出。しょっぱなから冷や汗です。さらに、気付かないうちに貴重品を入れた防水バックを流していたようで、回収してもらってました。
 これでは先が思いやられます。この先も迷惑掛けそうで悪いなあ、と。状況次第で早めに上がろうと考えたのはこの時。
 しばらく漕ぎ進むと、先陣がスカウティングしているのが見えたので上陸。滝状の落ち込みがあり、落ち込みの先の右岸側にはまたも丸太がありました。さっきのこともあるし、ここは左岸側からエスケイプ。カヤック組の多くはガッツルートを通過。すごいとしか言いようがありません。
 その後、しばらく細い、しかし速く強い流れの中を漕ぎ進むと、左岸側に流れが集まり、細いコースを作っている箇所があり、そのままフネを進めると、果たして、カヤックが一艇、真ん中の岩にブローチしてコースを塞いでいました。
 しまった!
 気付くのが遅れてしまったので、エディーに入ることかなわず、そのまま進入。案の定、避けきれずに衝突。しばらくして、カヤックはうまく外れましたが、今度は私がその岩にラップ。水流を受けてあのリンクスが真っ二つに折れ曲がっています。
 フネから下り、ラナを左岸に上がらせ、剥がしにかかります。すると今度は後続のカヤックが一艇、避けようとしてにラップ地点の手前右岸側にある丸太に引っかかり、沈脱。
 えらいことになってしまいました。
 フネを剥がし、急いで追い掛けると、全員がフネから降りています。何事かと思えば、そのすぐ下の瀬で、潜んでいたワイヤーにパドルをひっかけて取られてしまうという事故があったのでした。
 他のメンバーが協力して確保を取り、パドルを取りにかかります。この間、私は側で見ていただけ。後で考えると、やってることはラフトのレスキューの基本と同じで、手伝えることがいろいろあったなあと思うのですが、無力さを痛感。
 パドルは、15分ほどかけて、回収はできましたが、見事に折れてしまっていました。ちなみに、パドルだけでなく、腕が引っかかっていたら、体が巻き込まれていたら、と思うと、充分ありえることだけにゾッとします。
 パドルを失った方ともう一人先ほどフネを流した方(ボートは無事回収)がここで撤退し、ここからは5人。リンクスの腹が再び裂けていたのにも気付いていたのですが、もう少しだけ下ってみることにしました。
 やがて右岸より支川(宮谷?)が合流。水量が一気に増加し、川相がクリークらしくなくなり、ビッグウォーターのそれに変化したのが感じ取れます。随分下りやすくなり、どうせ束の間でしょうが、瀬も易しくなったので、少し気が休まり、色々なことを考え始めます。
 正直、ここで上がろうかなと考えていました。
 瀞場ばかりの川というのも疲れますが、瀞場のない川というのはリスク回避のために多くのことを高速で考えながら下るので、もっと疲れます。そのお蔭ですでに心身共にお腹いっぱいですし、このままではいつか間違いなくメンバーに迷惑をかけてしまうでしょうし。
 しかし、ここで退き下がるのは何か悔しい気もします。この先がどうなっているのか、知りたい。下りきって、達成感を味わいたい。それに、これだけの水量があれば、ダッキーにとってはむしろ前半部より下りやすいのではないか。
 葛藤。
 迷いながら、しばらく漕いでいるうちに、もう一つの支川(江馬小屋谷?)が合流。水勢はますます盛んとなり、前半部のクリークらしさをまったく感じさせないビッグウォーターと化してしまいました。ここから先は全然見えなくなっていますが、スタート前の回送時に見た核心部が控えているはずです。
 上がるなら、今のうち。しかし、上がれそうな場所はなぜか見つかりませんでした。
 退路を断たれ、背水の陣となったことに、なぜかほっとしつつ、ゴールまでチャレンジしてみようと決断したのは、この時。
 KKD(注1)発動。
 核心部へ、飛び込みました。

 川幅が広がり、流れが緩やかに。この先にある落差約10mの堰堤のバックウォーター域に入ったようです。左岸に寄り、上陸。ここがゴール。時刻は、14時過ぎ。
 約2時間のダウンリバーでしたが、何かとてつもなく長い時間が経ったような気がします。その反面、後半部はあっという間に終わってしまったなあという気もします。
 後半部の核心部のしょっぱなでラナを落とすこと2回。以降、絶対に落としてなるものかと腹を括って下っていくうちに、脳内物質の影響か、だんだんとハイになる一方で脳がカラッポになり、迷ったり、考えたりすることがほとんどなかったのが原因の一つでしょう。
 メンバー皆で昼食を取った後、解散。それぞれが帰路へつきましたが、運転中にだんだんと手首、腰を中心に、体のあちこちが痛んできました。下った直後は興奮していて気付かなかったのですが、どうにも全力以上のパワーを発揮していたようで、その反動がかなりキているようです。
 しかし、これまで感じた以上の充実感も得られたような気がします。最後に、KYOKOさんを始めとする今回参加された皆さん、色々と気を遣わせたり、ご迷惑をおかけしましたが、こんな素敵な川を下らせていただいて、本当にありがとうございました。

*写真は、同行したイマイさんが撮影したものを多く使用させていただいています。
【注1】
KKD…「火事場のクソ力」の略称。ピンチに陥ったときに呼び覚まされる奇跡の超人パワー。発動時は額に「肉」の字が浮き上がる。

スタート地点。ダッキーは私だけ。犬連れも私だけ。
スタート直後のストレーナー。
ストレーナーにかかり、沈脱
流したボートの回収作業
川幅いっぱいに丸太が横たわるケースも。
一本目の支流
二本目の支流
ゴール地点
2004年8月28日(土)
55 リボーン・リンクスU(奈良吉野川9)

水位:1.22m(五條) 気温:29℃ 天気:晴れ
区間:梁瀬橋〜栄山寺 メンバー:会社のひと

 台風16号・チャバさん襲来。まったく今年はよく当たるなあ、しかも週末ばかりに…、と半ば諦めて川に向かうと、晴れてますやん。風は強いですが、追い風。ダッキーには嬉しい。
 今日は会社の方々と奈良吉野川です。大会を来週に控えているのでちょいと練習したい気がしないでもないですが、腰の状態も良くないし、まあいいかな、と。
 この日は、愛艇リンクスUのシートを8年目にしてようやく改装しました。空気を注入する栓の先をなくしたり、ラナに齧られたりして、シートとは名ばかりの、空気を入れられないただの座布団の状態が長く続いていたのですが、このたび、ようやくセビラーさんのシートを購入したのです。KROさんによれば、リンクスにも使えるとのことなので。なぜAIREではないかというと、一つ\18,000-という相場を無視したベラボウに高い値段であったためです。その点、Sevylorさんのは\8,000-という比較的リーズナブルな値段であったし、なにぶん、ウェストバック付きなのがよろしい。これだとビール缶をたくさん積んで下ることができますからね(早速、実践してみました)。
 しかし、リンクスに取り付ける際に、指を切ること3回。固定するときの金具の一部が尖ってて、それが指を傷つけやすいのですね。これ、改善要望です。
 水位は、スタート時点では1.04m。久々に澄んでいます。流れの弱い箇所の川底は、赤茶色の泥っぽいコケが埋め尽くしていましたが、水面はそのコケより10cmほど高い位置にあって、増水分がよく分かる構図になっています。
 前半で3缶空けて、早くもへべれけに。青空の下、キレイな川の上にフネを浮かべてビールを飲む。幸せですねえ。
 メンバーの一人がカヤックのデビュー戦だったのですが、4回ほど沈脱して力尽きたので、交代。Dancerという10年くらい前のカヤックらしいですが、今の感覚でいえば、ありえないくらいに長い。安定性はないですが、スピードがメチャメチャ出る。面白いです。波を越えると、バウの上を乗り上げた水が腹部にズンとキます。波を全てバウが蹴散らすダッキーとはここが違いますね。ちょっと気に入ってしまい、結局ゴールまで漕いでしまいました。
 栄山寺で解散後は、KYOKOさんチームと合流するため、二日酔い(?)に苦しみながらも宮川へ。東吉野に入ると雲行きが怪しくなり、やがて雨が降り出しました。こっちは予報通りですね。残念。
 宮川ダム直下、大杉谷まで約2時間。そこでKYOKOさんと、前々回の北山川以来のKさん、Sさんにお会いし、またまた色々とご馳走になってしまいました。すいません。

 P.S. 川下り回数がホームラン日本記録に並んだ記念に、
   写真にコメントを付けてみました。

第一の瀬。晴れなので写真の映えも良し。
第二の瀬。ダンサーはいきなり沈。
レスキューするよりまず撮影(すでに酔ってました)
ここでも撮影に従事。
芝崎の瀬の入り口。快適〜。
天理教の瀬の下の瀬。
交代してからはダッキーに乗ってもらいました。
ゴールの栄山寺。放流の影響でちょっと濁ってました。
2004年8月22日(日)
54 魔女の一撃(北山川4)

水位:? 気温:28℃ 天気:曇り
区間:音乗〜小松 メンバー:Testuさん

 明け方は小雨でしたが、やがて止み、霧が晴れ、明るくなってきました。小松の公園で、酔い潰れてテントも張らずに寝ていたのですが、たっぷり眠れたお蔭で体力も回復。
 今日は音乗〜小松間を二本、下りました。
 一本目はリンクスで。サファリで下る予定のコースを昨日に続いて再確認。二本目はサファリ。ラナにはTestuさんにご協力いただき、OURS渡り鳥に乗ってもらいました。ラナは過去何度か痛い目に遭っているためか、サファリには寄り付かず、幸いにも大人しくTestuさんの渡り鳥に乗ってくれてました。
 なぜ、こうしてまでサファリで下ったかというと、再来週末に出場予定の「北山川ラフティング大会」対策のため。
 普段の愛艇リンクスUは、沈の可能性はほぼゼロに等しいし(会長&花鳥のチーム「沈虎」はやらかしてましたが)、トップスピードもなかなかなのですが、しかし如何せん一人で長距離を漕ぐには重すぎて、体力が続きません。また、コースアウトした場合、単独の漕ぎでは再びトップスピードに上げるまでにかなりの時間と体力を消耗するのも見逃せない点です。
 一方のサファリは、特筆すべきはその軽さで、漕ぎに負担が少ないし、コントロールも容易。しかし、そのありえないほどの不安定さから、沈のリスクは高。また、フネの浮力が小さいためベイラーの効きが悪く、大きなストッパーに当たると満水になってノーコンになります。水が抜けきるまでには約10秒かかるのですが、その間は沈しやすい上、スピードも落ちます。
 レースで最重要視すべきは無論スピードですが、リンクスとサファリではトップスピードはどちらが速いのか、実はまだよく判っていません。高確率で沈するというリスクを冒してでもあえてサファリを選んだ決定的な理由は、その負荷の小ささでした。私、腕力もなければ、体力もないですから。
 今回、サファリで下って感じた課題とその対応策について、以下にメモしておきます。
 【@安定性の低さ】
 ●問題●沈する可能性がかなり高い。沈によるタイムロスと体力低下は影響大。
 ●原因●フネの仕様。カヤックタイプの安定性の低いフネにのる機会が少なく、慣れていない。
 ●対策●オトノリなど大きな瀬では徹底してチキンコースを通る。多少のタイムロスは許容する。
 【A直進性の低さ】
 ●問題●力いっぱい漕ぐとふらつく。ムダが多くなる。
 ●原因●底がフラット、軽い(仕様)。漕ぎ慣れていない。
 ●対策●改造してキールやフィンを装着する?しかし、具体的なイメージが湧かないので実現は難しそう。
 【B(大きな瀬での)操作性の低さ】
 ●問題●ストッパーに当たると水舟となり、ノーコン、スピードダウン。タイムロスな上に、沈しやすくなる。
 ●原因●ベイラーの抜けが悪い。浮力が小さい(仕様)。
 ●対策●浮力体を装備する。これは実現度が高そう。

 とまあ、本番までの宿題がたくさん得られたのですが、もう一つ得られたものがありました。それは腰痛。襲いかかる鈍く、重い痛み(持病なんです)。ちなみに、ドイツでは「魔女の一撃」とも呼ばれるそうな。カップ型パドルでリンクスUのような重いフネ(+ラナ付き)をフルパワーで漕ぐと、相当な負荷が腕と腰にかかるのですが、どうにもそれが原因のようです。しばらく、大人しくしてます…。

2004年8月21日(土)
53 カフェオレのメカニズム(北山川3)

水位:? 気温:30℃ 天気:晴れ時々曇り
区間:音乗〜小松 メンバー:Testuさん

 天気は薄曇りで、川の水はカフェオレ色。今日の北山川は何だか暗くて重苦しい雰囲気です。しかしまあ、ひどい濁りで、分水嶺を隔てた奈良吉野川がすでに回復傾向なのとは大違い。降水量、土砂流入量、回復力の違いなど、要素はいろいろあるとは思いますが、原因は何なのでしょうか。
 最上流部の上北山川ではまだシルト混じりのミルク色をしていて、池原ダム上流部になると、流木というスティックだらけのシナモンコーヒー。見られたものではない惨状でした。ただ、中心部に至ると緑がかった濁りで幾分マシな様子。七色ダムは、支流・池郷川がほぼ復活していて、ダム上流部は黒っぽく若干濁りがあるものの、まあまあという感じでした。ここから下流は、下北山村−北山村間の新しくできた道を通ったのでよく分かりません。再び川沿いに出るのは小森ダム上流部となります。ここはやや白濁した緑で、これを見て、前回来たときと同じくらいの濁りかなあなんて思ってたのですが、相須付近まで下ると一気にカフェオレカラーの泥水に。
 同じ川なのに、上流部から下流にかけてここまで濁り度合いが変わるのは何故なんでしょう。各ダム間の取水口と放水口の位置やその水量について調べれば何か分かるかも?と考えたのですが、ネット上で検索しても出てくる結果はどれもブラックバスの釣り場としての情報ばかり。こりゃ、図書館に篭ってでもみないと分からないかも。
 一見、洪水っぽいカラーとはいえ、小森ダムの観光放水量はいつもと同じだったようで、筏下りは通常通り営業していたため川下りを決行。メンバーはTestuさん一人。水量は同じとは知りつつも、何だかいつもより迫力があるように見えるのは気のせいでしょうか。前回の黒尊川で再び腹を割かれたリンクスを再び修復したものの、透明度20cmを切る水質のお蔭でいつまたスタックして破れるか常時怯えながら下りました。
 今日は連日の睡眠不足がたたってバテ気味だったので、小松まで一本下っただけで終了。

2004年8月16日(月)
52 川下りの尽きることない魅力【四国一人旅・六日目】(黒尊川1)

水位:??m 気温:30℃ 天気:晴れ
区間:レーシングカート場〜四万十川出合い メンバー:ソロ

 いよいよ四国一人旅も最後の日を迎えました。今日も晴天に恵まれ、リンクスのオペも無事に成功したので、引き続きダウンリバーができそうです。
 今日下るのは、口屋内で四万十川に注ぐ黒尊川。私がツーリングカヌーにハマる決定打となった川です。初めて下ったのは、大学1回生の夏休み。もう、8年も前です(!)。江川崎から四万十川橋までを部の先輩から借りたファルトで下ったのですが、船底に穴が開いていて、浸水するので重いし、こまめに上陸して水抜きしないといけないのでかなり辛かったという思い出があります。ですが、そんなマイナスをプラスに転じてくれたのが、黒尊川で遊んだ一日でした。淵で水中メガネを付けて潜ったときの、眼前に広がる別世界。感動でした。カヌーで川下りすると、こんなことができるのか!って感激し、以後川の世界に入っていくことになります。
 今回のスタート地点は、去年下ったよりも2kmほど上流に取って、レーシングカート場(跡?)まで。車道で6.2km、蛇行部分を合わせると、川は大体8kmくらいでしょうか。
 車道から眺めると、少し暗めの色でしたが、川に下りて眺めると、浅い箇所は川底の黄または黒系、深い箇所はコバルトブルーでした。溶けている鉱物イオンの違いによる影響なのでしょうか。本流の黒っぽい緑色とは明らかに違う系統の色です。おそらく地質学や光学とも関連していきそうですが、川の色を決める要因は何かということについて、突き詰めて考えていくのも非常に面白そうですね。ちなみに、底の見えない淵はなし、といったところで、透明度は10mを優に越えています。
 水位は、おそらく平水レベルで、瀬はかなり浅く、実際、ライニングダウンは二桁を数えました。しかも、リンクスが再び船腹を裂かれるというおまけつき。去年は一度も底を擦ることなく、楽々下れたんですけどね。今回の旅では、剣山系の水を集める穴吹川や那賀川などは白濁するまで増水していたのですが、仁淀川やこの四万十川水系は軒並み平水レベルでした。
 いずれにせよ、水は少ないものの、最高の透明度を楽しめるコンディションでの川下りができました。黒尊川の魅力は、時には水深5cmしかないような浅瀬があるかと思えば、10mはありそうな特大の淵があるといったように、川相に変化が多く、大きいこと。これぞ天然の川、という姿を見せつけてくれます。
 そして、もう一つの魅力は、魚影の濃さとその種類の豊富さ。今日は、ずっと下を向いて下っていました。浅瀬にはヨシノボリ(ゴリ)、瀞場にはカワムツ、大きなイダ(ウグイ)や、アユもいました。フネが近付くと、時々ぶっとい魚がのそっと逃げていましたが、あれはアユカケでしょうか。瀬の終わりの岩場では、モクズガニが潜んでいるのも見えました。テナガエビは…?、と探してみたのですが、これは見つかりませんでした。しかしこの川、こんなにキレイなのに、なぜでしょう?釣り師が全然いませんでした。アマゴやアユは少ないんでしょうかね?
 昨日は正直、漕ぐことにいささか食傷気味だったのですが、今日は初心に帰ったというか、改めて川下りの魅力を再認識できたような気がします。今回は「6日で6本の川を下る」という今思えば結構ハードな目標を設定したお蔭で移動に忙しくなってしまい、できませんでしたが、今度の旅では、潜って、釣りするだけの日も設けてみるのもいいかもしれないですね。ラナには潜って魚を獲ってくるという業を覚えてもらって。

 ・走行距離(累積):1,695km
 ・交通費(高速・ガソリン):\13,600
 ・食費(ラナ分含む):\1,590
 ・その他:\0

2004年8月15日(日)
51 食傷【四国一人旅・五日目】(四万十川1)

水位:-0.18m(大正) 気温:31℃ 天気:曇
区間:リバーパーク轟〜十川駅 メンバー:ソロ

 四国の川巡礼の旅もはや五日目を迎え、導かれるままにやってきました。四万十川。この川については説明は不要でしょう。カヌイストの聖地のような扱いを受けていますが、実際、自然と何度も足を運ばせてしまう魅力があります。
 明日は口屋内に注ぐ支流・黒尊川を下ろうと計画しているので、移動時間はあまりかかりません。したがって今日一日、目いっぱい漕いで四万十の魅力を存分に味わってやろうと、欲張っていつもより多めに距離をとってみました。
 設定したのは、リバーパーク轟から十川駅まで。去年下った大正〜昭和間はここに含まれます。距離は車道上にて約20kmですが、車道は川の蛇行部分を4回、ショートカットしているので、実際の漕行区間はもっと長くなります。終わった後で地図で確かめると、約32.5kmありました。事前に知っていたら、絶対にやらなかったでしょう(笑)。正午に出発して、到着したのは17:30。実に5時間半。行程の半分で充分お腹いっぱいになっていたのですが、ひたすら漕ぎ続けるしかないのでした。やっぱり、過食はよくないですね。
 ちなみに、回送は、電車と自転車を併用しました。まず、フネとギア類、そしてラナをリバーパーク轟に残し、大正駅に自転車を置いて、十川駅までクルマで行きます。そして、十川駅にクルマを残し、電車で大正駅へ向かい、大正駅からチャリでリバーパーク轟まで。なぜ、ここまでして轟まで行きたかったのかというと、ここにある「轟の瀬」をかねてより下ってみたかったから。今年、チャリという新たな交通手段が加わることによって、ようやく宿願が果たせたというわけなのです。
 さて、その轟の瀬。初対決なので、下見します。
 一段目が大きな滝状のドロップ。岩だらけで、細い筋が4本。一番左岸側のコースは浅すぎてアウト。二番目は、二段の落ち込みになっていて、リンクスが通れるかどうか、ギリギリの幅。左岸からの下見だったことから、左岸側から2本の筋しかよく見えません。結局、左岸から二番目の細い筋を通ることにしました。もし引っかかったら、リーンで艇を傾ければ何とかなるだろうと。その滝の下には小さな落ち込みが立て続けに二つ。そのまま下流にコースを取ると十数m先に行く手を阻む岩があって通れません。また、その岩の約3m手前右側にも岩が二つ並んでいて、その約5m手前には隠れ岩が三つイビツに並んだ落ち込みがあって、通れるかどうかは微妙。その隠れ岩の右側が本流となっています。その隠れ岩の5m手前が、最初に言った滝の下の小さな落ち込み二つ、といった瀬になっていて、要は小さな落ち込みを二つ下ったその後5mの間に、隠れ岩を避けられるまで右岸側にスライドできるかどうかがポイントになりそうです。
 結構キツいコースですが、大胆に攻めようという気になれるのも、昨日の那賀川と違って、瀬の終わりに瀞場があるから。たとえ同じような難易度の瀬でも、瀬の終わりに瀞場があるとないとでは、全然安心感が違うものだなあと実感しました。
 結果は、想定したコース通りに下れました。一段目の滝も、ギリギリ通れました。ただ、下り終わった後で下流から再度コースを確かめると、一段目の滝は右岸から二本目のコースから下るのが良かったみたいですね。最も幅もあって、その後も少し右岸に寄るだけで本流に乗れるので。
 その後はしばらく比較的緩やかな瀬と瀞場との交互の繰り返しが続きます。回送中、川を眺めると黒っぽい色をして、瀬の終わりには泡が浮かんでいたので、全然ダメじゃんって思っていたのですが、いざフネを浮かべて眺めると、深く沈んだ、藍がかった緑をしていることが分かりました。何かこう、山の緑が溶け込んだような色です。透明度は抜群で、5mはゆうに越えていそうです。そういえば、初めて来た8年前も、こんな碧色だったような気がします。いつの間にか思い出の中で美化されて、ライトな色のイメージを持つようになり、仁淀川のほうがぴったり合うようになったのかもしれません。
 そんなことを思いながら漕ぎ進めると、やがて「二艘の瀬」が見えてきました。ここは去年も下ったところですが、去年とは80cmも水位が違う状態で下っているので、一応下見。去年見た特大ストッパーはなくなっていて、三段の落ち込みになっていました。川幅は、まさに名の通りかなり狭くなっています。ヤバそうなのは三段目で、左岸側から撥ね返った流れが入ってきて、前と斜め左と二方向からストッパーができているので、左に寄るとマズそうです。また、二段目と三段目の間のボイルが山のように盛り上がっていて、ここで山に乗り切れないと横に傾いた状態で三段目に突入ということになるので、正念場は二段目から三段目にかけて、ということになりそうです。
 今回はラナを乗せたまま突入です。相変わらずスターン側に入ってます。加速をつけ、進入。一段目は難なくクリア。続いて二段目。越えたと思った瞬間、視界がリンクスのフロアでいっぱいに。思いきりウイリーし、完全に後傾になってしまいました。そういえば、ラナがスターンに乗っているのでウイリーしやすいことを失念してました。重心が完全に上がってしまって、パドルもろくに差せない状態。前傾にしなくては、右岸寄りに漕がなくては、と半ばパニックになって、結局体が動かず、何もできないまま、あぁぁぁぁ、と三段目に突入。
 パドルを入れられたかどうか、よく覚えてません。が、、無事越えていました。予想外の事態に頭が真っ白になってしまったようです。恥ずかしいことに。とりあえず先にもう一段、大きい落ち込みがあるので、安堵の息もつかの間、再び加速をつけて突入し、クリア。あー、危なかった。
 この時点で実はもう、お腹いっぱいだったのですが、基本的に途中で止めることはできません。梼原川の発電放水の影響か、津賀発電所あたりから川は緑色に濁り始め、ぱらぱらと雨まで降ってきました。今日はパドルがやけに重い。
 バテバテになって、ようやくゴール。その後、片付けを行っていると、なんと、リンクスのボトムが引き裂かれているではありませんか!縦に一直線。かなり昔、横に一直線裂かれた古傷まで開いており、カギ裂きのようになってしまっています。内部は無事で、パンクはしていません。どおりで、何か引っかかるような感じがして重いと思ったんですよねえ。
 不幸中の幸い、リペアキットを持ってきていたので、明日朝イチで修理ですね。果たして、直るかな…?

 ・走行距離(累積):1,136km
 ・交通費(高速・ガソリン):\260
 ・食費(ラナ分含む):\1,010
 ・その他:\250

ツーリング記録を時系列で載せています。中でもとくにネタになりそうなものは、「川下りレポート(総括編)」に載せます。
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