文書の作成日 / 2003年12月30日
・方針に間違いはなかったか
実際は、躾らしいことは極力やらず、体験を通じて自然に覚えて欲しいというスタンスで接していた。ほぼ目標どおりの子に育っているところから見ても、基本的には間違っていなかったと思うが、今振り返ってみると、もう少し躾も必要だったかと思うところもある。
それは、「飛びつき癖」を直せていないことにある。
人間を見るとちぎれんばかりにシッポを振って飛びつこうとする。まったく人見知りをせず、警戒して吠えたり噛んだりすることがない意味ではゴールデンを選んだ甲斐があったというものだが、人を見ると何らかのスイッチが入ってしまうようで、そうなるともう、呼び戻そうとしてもかなりの割合で無視される。
平日の散歩時など繋いでいるときはいいのだが、川ではたいてい放したままなので、とくに小さな子供連れの家族や釣り師が川原にいるときは非常に気を遣うことになる。川原で寝るときも、周りにテントがある場合は、かなり気を遣う。
今後、川下りを存分に楽しむためにも、こうした他人に迷惑をかける要素のある癖に関しては、やはりきちんと躾をおこなわなくてはならないなと思う。
方針 |
達成度 |
コメント |
褒めて育てる (体罰は極力控える) |
△ |
生後半年までくらいは怒られているという認識に欠けているところがあったので、ぶん殴ることもあったが、現在はほとんどそういうことがない。また、褒めて覚えさせたのはトイレくらいで、あとは犬が自然に覚えたという印象がある。 |
早い時期からたくさんのことを体験させる |
△ |
生後4ヶ月を過ぎて以降、川の世界やそこで出会った人たちと数多くの交流を持ったという点では、達成できている。 ただ、他の犬と交流する機会が少なく、結果的に他の犬を怖がる犬になってしまったのは大きな失敗だった。 |
愛情を大前提に、一貫した態度で接する |
△ |
たとえば、呼んでもなかなか来ないとき、どついてやりたい気持ちをぐっと抑え、やって来たときに褒めてやることはできるようになった。 しかし、出会う人すべてに飛びついたりされると、一貫した態度で、というのはなかなか難しいと実感する。 |
ラナを1月に飼い始めて以降、3月〜12月を通じて、約50本の川下りを共におこなった。激沈が10回ほど、肉球をケガするのが2回ほどという事故もあったが、大きな病気もなく無事に年を越せそうで何よりである。また、ラナをきっかけに多くの人間と出会うことができ、今までになく充実したシーズンを送ることができた。犬とカヌーを始めて本当に良かったと思っている。
ここで、飼い始めた当初に立てた、カヌー犬として育てるための目標や方針に対し、現時点でどの程度達成できているのか、その目標や方針に間違いはなかったのか、年の暮れを迎えた機会に振り返りをおこなってみようと思う。
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目標 |
達成度 |
コメント |
カヌー犬 |
水が好きであること |
△→○ |
自発的に泳ぐまでには3ヶ月ほどかかったが、水そのものに対する抵抗感は初めから持っておらず、カヌーにもすんなり乗ってくれた。 現在は水があればとりあえず飛び込むほどの水好き。たとえそれが泥水でも…。 |
泳ぐ力があること |
×→○ |
初めは足のつくところでしか遊ばず、泳がなかった。自発的に泳ぐようになったのは、生後半年を過ぎた6月以降。 現在は、長距離をかなりのスピードで泳げる。ただし、瀞場限定。 |
乗り物酔いしないこと |
△→○ |
初めは、運転時間が2時間を過ぎると、よく吐いていた。 適応して、どんなに長い時間運転していても吐かなくなったのは8月あたりから。 |
家庭犬 |
留守番ができる |
×→○ |
ゴミ箱をあさったり、本棚から本を取り出してビリビリに引き裂いたり、ドライヤーのコードを噛みちぎったりと、初めはひどかった。 現在はおとなしくお留守番できる子に育っている。 |
無駄吠えしない |
○ |
これに関しては、悩むことがまったくなかった。 吠えるのは、よっぽど興奮したときくらい。 |
噛まない |
×→△ |
ゴールデンが噛むとは思っていなかったので意外だった。 現在でもなかなか治らず、歯が当たる程度に甘噛みしてくるが、叱ると止めるようにはなった。 |
従順で、物覚えがよい、訓練性能が良い (躾がしやすい) |
△ |
そういえば、あまり躾らしい躾をおこなっていないので、この項目に関しては何ともいえない。 ただ、叱るとすぐ止めるようにはなったので、従順ではあるかと。 |
性格が穏やか |
△→○ |
多少(?)スイッチが入りやすい面は残っているが、基本的にはのんびりした性格の犬に育っている。 |
・目標どおりの子に育ったか
・目標に間違いはなかったか
実際川下りを共におこなっていくうち、当初「カヌー犬」に必要な能力として立てた目標に一つ足りないものがあることに気がついた。
それは、「瀬を怖がらないこと」である。
どんな川にも対応できる優秀なカヌー犬であるためには、瀬に近づくにつれ脳に突き刺すように響き渡る轟音や、あらゆるものを呑み込まんと襲いかかる白波にも物怖じしない、タフな精神力も持ち合わせていなければならなかった。
ラナは、瀬が苦手である。
これは、ゴールデンが持つ生来の臆病な性格によるものなのか、ラナがメスであることによるものなのか、よく分からない。
それでも現在では随分慣れたものだと思う。川下りを始めた頃は、瀬ごとにフネの後ろに行って水が飛びかからないようにしていたが、よく落ちていた。やがて、フネの前に留まるようにはなったが、瀬のたびにしがみついてきた。8月頃になると、瀬に背を向けて、しゃがみこむようになり、しがみついては来なくなった。最近では、相変わらず背は向けるが、一応立ったまま下れるようにはなっている。2級弱の瀬ならもう、それほど怖がらなくなった。その程度の瀬なら、「横向き」というビミョーな姿勢で下っている。
・方針通りに育てられたか
泳ぎは得意中の得意。12月に入ってもけっこう
平気で泳いでます。
サファリ(左下)の前にラナを乗せるとフネが半分沈
み、ホールに入ると完全に水没する(もちろん沈)。
小さい頃は、よくカヤックに飛び移っていた。相手を
沈脱させたこともある(上)。
テントは、最低100m四方は誰もいないところで(下)。