カヌー犬育成日記
犬選び編
犬を飼い始めた背景

 本によって異なるが、生後4ヶ月までの時期は犬の個性を決定する上で非常に重要な時期であるというのがおおむね統一された意見である。そこで、限られた時間のなかで効率よく育てるためには、どんな犬に育てたいのか、どの能力を育てるかを明確にし、それに応じた環境を与えたり、躾をおこなうことが必要である。

 「犬選び編」でも書いたが、目標は「カヌー犬」として育て上げることである。ただし、単なる「カヌー犬」として育てるのではなく、優秀な「家庭犬」としても育てたい。
 「カヌー犬」としては、水好きで、泳ぎが達者で、乗り物酔いをしないことが要求される。
 「家庭犬」としては、他人に迷惑をかけず、自分の家のルールを守ってくれればそれで良い。具体的には、他人に吠えたり噛んだりせず、家の物を壊さずにおとなしく留守番をし、決められたトイレの場所を守ってくれれば良いということである。さらに、欲を言えば、日頃からの刺激に対して好奇心を示し、学習していくといった外向的で自立した性格でもあってほしい。
 結局、ラナを立派なカヌー犬かつ家庭犬に育て上げるために、以下の方針をもって育成に臨むことにした。

・躾は、褒めておこなう。
 指導書によく書かれているのが、「褒めるときは叱るときの三倍で」。
 「体罰は信頼関係を損なうだけで何のメリットもありません」ともよく書かれているが、怒られていることを分からせるという意味合いにおいてのみ、実施することにする。

・早い時期からたくさんのことを体験させる。
 たくさんの同族や人間とコミュニケーションをとらせ、外の世界を経験させる。川にも極力早い時期から連れて行き、水やフネに親しませる。仔犬のうちに刺激の少ない環境で育てられると、引きこもりがちで目新しいものにまったく興味を示さなくなる傾向があるらしいが、これはカヌー犬としても家庭犬としてもいいことではない。仔犬は免疫能力の問題上、ワクチンを済ませないと外出できないらしいが、必然的に早く済ませたほうがいいということになる。

・愛情を大前提に、一貫した態度で接する。
 機嫌の良いときは怒らないことなのに、嫌なことがあって機嫌の悪いときは怒る。しかも、普段は言って聞かせるだけなのに、ぶん殴ったりと怒り方まで違う。こちらも感情の生き物だから、常時一貫した態度というのは難しいが、こちらに求めるものがある以上、これぐらいは守らなければならないなと思う。

 2003年1月13日の夕方、ゴールデンの仔犬がやってきたとの連絡が入り、地元枚方のペットショップへ赴く。店員のおねえさんに抱えられたその子は、滋賀からクルマでやってきたせいか、幾分ぐったりしているようではあったが、ずんぐりしていて目鼻もキレイで毛ヅヤもよく、まあ合格点といえた。誕生日は昨年の11月19日とのことで、生後7週経っているわけだから、二ヶ月という条件をまあ満たしているといってもよい。
 実際に抱きかかえてみる。思ったより重い。小さな目に、ぶっとい足。暴れずに、おっとりおとなしく抱かれているその様子は、チョビを彷彿とさせた。
 このときの体重は約4キロ。


 事前に色々考えていたワリには、この犬でいいやとあっさり決めてしまった。本当は遺伝性疾患の有無や、両親と兄弟犬の特徴と健康状態、血統書の入手時期など、他にも細かく聞いて調べなければならないことが他にもたくさんあったにもかかわらず、にである。抱き上げた瞬間にもう、情が移ってしまっていたのかもしれない。
 将来のカヌー犬、ラナとの出会いである。
 かような経緯を経て、カヌー犬候補としてゴールデン・レトリーバーのメスを選び、ペットショップ経由でブリーダーから購入することにした。以下では、名付け、育て方について考えたことを記している。
犬を飼い始めた背景
 翌日、会社からの帰宅後(本当は仕事中から!)、名前をつけるという作業にとりかかる。血統書は後日郵送ということで見ていないが、両親共にゴールデン、とくに父親はJKCのチャンピョン犬であるらしい。そんな由緒正しき家柄のお嬢様だから、立派な名前をつけてやらなければならない。そこで、国語辞典から英和辞典、学生時代に使っていたトルコ語辞典からペルシア語辞典、アラビア語辞典まで、家にあるありとあらゆる辞書を取り出して候補を探してみた。また、インターネット上にあった人物辞典からも探してみたりもした。
 そうした作業をおこないつつ、考えをまとめていくと、名前をつける上で、次のような条件が出てきた。

@耳に響きのいい単語であること
Aゴールデンの原産国がイギリスということにあやかり、英語名にすること
B名前の意味に、川下りかゴールデンという犬種への縁語を含ませること

 これらを勘案した結果、「ラナ」と名づけることにした。ネット上の人名事典にあるイギリスの女性名一覧をしらみつぶしに見ていった結果である。ラナLanaという名前は、古代ギリシア語で「shining」という意味を持っているらしい。日本人なら「ヒカリちゃん」とか「コウちゃん」といったところだろうか。「ゴールデン」という言葉の縁語として、まことふさわしい名前ではないか、と思い、結局対抗となる名前も浮かばなかったので、これに決めた。
犬を飼い始めた背景

飼い始めて一週間後は左上の写真のようにかわいかったが、5ヶ月も経つと体も態度も右上のように大きくなりました。

文書の作成日 / 2003年5月25日
第一回改訂 / 2003年11月16日(内容の修正)
第二回改訂 / 2003年12月30日(内容の修正)
かような方針のもとにラナを育て始めてはや年も暮れ。ラナは生後一年を過ぎ、体重は当初の6倍以上、25kgまで増えた。これを機会に、次のページでは、これまでの育成に対する振り返りをおこなってみた。
カヌー犬育成日記(育成レビュー'03編)
トップページに戻る
ページのトップに戻る
Before
After
inserted by FC2 system