ツーリングレポートを時系列で載せています。原則として、川を下る都度に更新されますが、たまにとっても遅れます。
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2005年9月4日(日)
60 悲願の初優勝【第7回北山川ラフティング大会・本戦】(北山川6)

水位:-m 気温:24℃(上北山) 天気:曇り
区間:オトノリ〜小松
メンバー:カイチョー、モリ君、後輩1号

 北山川ラフティング大会−第1回からダッキークラスでほぼ出場し続けている大会ですが、最高順位は一昨年の2位。この大会で優勝を飾ることは大きな目標であります。
 ちなみに、過去の戦績は以下のとおりです。

 第1回 (1998年) 3位/8チーム(リンクスU・カヌマス会長)
 第2回 (1999年) 院試準備のため欠場
 第3回 (2000年) 8位/20チーム(リンクスU・ソロ) 33分25秒
 第4回 (2001年) 7位/29チーム(リンクスU・ユーリ) 32分11秒
 第5回 (2002年) 小森ダムゲート放水のため開催中止
 第6回 (2003年) 2位/23チーム(サファリ・ソロ) 31分03秒
 第7回 (2004年) 5位/22チーム(サファリ・ソロ) 30分52秒


 一昨年、リンクスUからサファリに乗り換えて出場してからようやく入賞圏内に入るようになりましたが、今年はサファリではなく再びリンクスに乗っての出場となります。相方はカヌマス会長。この大会では実に7年ぶりのタッグ再結成となります。
 今年の大会に臨むにあたっては、基礎体力向上以外に何かできることはないかと事前準備をかなり入念に行ったのが特徴です。二人とも運動センスはお世辞にも良いとは言えませんので、基礎体力の向上だけを目標にすると効率的ではないと考え、コンディション、装備、パドリング面などから改善策をカヌマス会長とお互いに出しあい、実施できそうなモノはすぐに実践してみました。
 周りからセコイと言われようと、ありとあらゆる手を尽くす。無論ルールに反しない範囲でです。1秒でも速くするために、真剣なのです。

 昨夜は21時ごろには就寝したので、睡眠は充分。バテにくくするために、1時間前にウィダーインを服用しました。カヌマスさんはVAAMを飲んでます。体調面では文句ナシ。
 さらにコンディションを上げるためにウォーミングアップを長めに取ろうと、大会開始90分前に川に下りて準備開始。すると、リンクスのフロアからエア漏れしていることが発覚。バルブの調子がおかしいようで、何度調整しても漏れが止まらない。直進性を上げるためにボートの形を変形させた影響でしょうか。1時間粘って結局ダメでした。時間に余裕がなくなってきたので、お留守番のラナを車内に連れて行くのを後輩1号さんにお願いし、祈るような気持ちで調整を続ける。が、空しくもエア漏れが止まる様子はありません。
 10時半を回り、いよいよラフトがスタート。身体がすっかり冷え切っていたので、まずはアップが優先とエア漏れを最小の状態にして、漕ぎ始めました。
 出艇順は22番。幸いにもラストです。もう一度調整してみようと時間ギリギリまで粘ってみましたが、結局エア漏れをゼロにすることはできませんでした。諦めて、エア漏れを最小の状態にして、30分くらいは持つだろうと判断。不安を残しながらのスタートとなりました。

 最初はオトノリの瀬。今年はサファリではないので沈する心配はないのですが、いかに水ブネ状態にさせず、失速しないように下るかがポイントとなります。基本はストッパー回避策。さらに念のためにと、ストッパーに被弾したときのためにセルフベイラー部分に木のボールをあてがい、穴を広げておくという小細工も弄しておきましたが、杞憂に終わりました。多少は被弾しましたが、問題ないレベルで突破。上々の出だしです。

 ここからナイアガラの瀬までは延々と瀞場。その距離は全体の1/4、1.5kmくらいはありましょうか。この区間は完全に体力勝負。基礎体力に優位性を持たない我々にとっては、ここをいかに乗り切るかが勝負の分かれ目となります。
 前方遥か先に見えるリンクス2艇に追い付くことを目標に漕ぐ。
 充分な睡眠と栄養摂取のおかげか、体調は悪くない。発熱していた去年はこの瀞場で力尽きたのですが、今日は力が漲っているのを感じます。
 さすがに21番「たかちゃん大好き」の黄色いリンクスとは間隔がなかなか縮まりませんが、20番「チュッチュで牛乳」青の新型リンクスとは徐々に差が縮まってきました。瀞場全体の2/3を過ぎたところでようやく捕捉。アウトコースから一気に追い抜くことに成功。若干アップ不足でしたが、このあたりでやっと身体も完全に温まり、パワー全開に。

 ナイアガラ、ムシバ、杓子の瀬と連続して突き進む。ここでは瀬の終わりにコースアウトしないように気を配ってしましたが、問題なく通過。
 フロアのエア漏れが僅かながらに進行しているようで、この頃から両足で踏ん張るごとにフロアがやや凹むのが気になってきたのですが、ここで口に出すとモチベーションに関わるので不安を押し殺し、黙って漕ぎ続けます(後で聞いたところカヌマス会長も気になっていたが、同様の理由で黙っていたらしい)。ただ、ここまで来てこの程度のモレ具合ならゴールまで問題なく持ちそうです。

 杓子の瀬を越えると再び瀞場。しかし、ここは緩やかながらも流れがあるのでオトノリの後のそれと比べるとかなり楽。
 前方には21番の黄色のリンクスと、その先にゼッケン15番の青いリンクスが見えました。どちらに対しても、少しずつではありますが、差が縮まっています。これならゴールまでに追い抜けそう。

 大きく右にカーブ。ここからまた瀬が連続し、ゴールまで続きます。
 前方の2艇とはかなり差が縮まってきました。
 ムササビホールを越えたあたりでようやく射程圏内。21番の右側と狙いを定め、一気に抜きにかかりますが、15番とも重なり、3艇が並行して漕ぐ状態に。
 左右のボートの隙間に入り込む形で抜こうと試みましたが、フネ同士の間隔が狭い。パドルとパドルが接触しそうになりながら、強引にコースを確保。
 21番はなかなか抜かせてくれない。明らかにペースが上がっています。15番が脱落した後は、2艇でさらに併漕が続く。
 進むにつれて少しずつ差が開き、1艇分以上差をつけて視界から消えたところでゴール間近の右ヘアピンカーブの瀬に差し掛かりました。
 後ろからもの凄いプレッシャー。今度は追われる立場です。フツー、1分差を縮めて追い抜かれたら心が折れそうなものですがね。ミス一つで追い抜かれそうな状況です。
 我々は練習どおりアウトコース寄りのルートを選択。21番はまさかのインコースを選択。インコースは距離は圧倒的に短いですが、完全にエディー(反転流)になっているのでルート選択肢から除外したのですが、これがまた、なぜか速い。
 再び並んだかのように見え、かなり焦りましたが、ゴール前の小さな瀬に入るまでに先頭を何とか確保。
 そのまま逃げ切り、ゴール。

 後半はまさしくデッドヒートでした。1分差を縮めたというのに、追いついてから最期まで接戦になるとは思いもよりませんでしたが、この競り合い、最高に面白かったです。
 下り終わってからクールダウンのひと時が最高に気持ちいい。
 身体が熱く、汗が額を流れるも、疲労感が心地良く感じられるような、何ともいえない爽快感に包まれる。
 こんな気分を味わうの、久しぶりです。レースで全力を尽くして戦った後にしか味わえない気分ですよね。

 結果は、29分35秒。優勝です。7年越しの悲願を達成し、この大会で初のタイトルとなりました。もっとも出場回数の多い大会だけに、思い入れも強く、それだけに感動もひとしおです。入賞圏外からのスタートでしたが、ここまで続けることができて、最初にコンビを組んだカヌマス会長とこの日を迎えることができて、本当に良かったと心から思います。
 満足できました。が、さらなる境地に挑みたい気持ちもあります。それは、去年の優勝、Takumaさんがたたき出した28分46秒というタイムを越えることです。次はこれを目標にしたいと思ってます。

 優勝賞品はAIRE社のトムキャット(赤)でした。どちらがこの豪華賞品をゲットするかということですが、来年結婚するカヌマス会長へのご祝儀として譲ることにしました。その分、来年の結婚式でのご祝儀は免除ということで(笑)。

 ちなみに2位が21番「たかちゃん大好き」、3位が▽夫婦の「ギャクゾウ」で、4位が「ニダコチーム2001」でパドカフェ連中が上位独占。本大会初出場の後輩1号さんとモリ君の「ニートとミート」は33分40秒で見事7位でした。
 皆さん、お疲れ様でした。来年もまた戦えることを楽しみにしてます!


北山川大会のオトノリ〜小松間コースは、オトノリの瀬→長い瀞場→ナイアガラの滝→ムシバの瀬→杓子の瀬→瀞場→ムササビホール→ヘアピンカーブの瀬と続きます。

ゼッケン17番「ニートとミート」。名前の由来はそのまんまです。

アキレス艇はサンショウウオのような動きをして巧みに下ります。

ちなみにモリ君のほうはダッキーの大会は初出場です。パドル逆じゃん。

去年の長良川WWF以来から通算して三度目の大会出場となります。だいぶ息も合ってきた。

チーム名は「ラナパパ×カイチョー」から「シャレコウベ大学OB」に変更しました。

ゴールの瞬間。

パドルはやっぱりカーボン製がいいみたいです。でも高いのですぐには買えません。

表彰式。カヌマス会長が抱えているのが賞品のトムキャットです。

パドカフェのメンバー皆さんと記念撮影。ここまでの写真はtakaさんに撮っていただきました。ありがとうございました。

表彰状。
2005年9月3日(土)
59 今年の大会と対策【第7回北山川ラフティング大会・テストラン】(北山川5)
水位:-m 気温:31℃(上北山) 天気:快晴
区間:オトノリ〜小松
メンバー:カイチョー、モリ君、後輩1号

 先週の北山川でタイムを測定した際、思っていたより低いタイムで気落ちしていたのですが、その後カヌマス会長と改善策についてアイデアを出し合ったところ、出るわ出るわで15の策が集まりました。
 主に以下の視点からミス減少とスピードアップを実現しようと考えてます。中には小ざかしいとしか言い表せない小細工レベルのものもありますが、原則は当たり前のことを当たり前に実行するというものです。
 ・コンディション向上
 ・装備改造
 ・コース選択基準の統一
 ・通過コースの統一
 ・パドリング方法の統一
 ・コミュニケーション


 奥瀞公園では▽夫妻と久々にお会いできました。どうやらパドカフェ関連からは、昨年に引き続き「たかちゃん大好き」、「ニダコチーム2001」が参加するみたいです。
 受付時にもらった参加チーム表によると、ダッキークラスは全部で11チーム。例年の半分しかいません。去年優勝のTakumaさんをはじめ、美並カヌークラブに岡山大、広島修道大と上位チームがいずれも出場していません。とくに美並カヌークラブは目標としていただけに落胆すること甚だしかったです。しかし、不気味なのはパドカフェ軍団。とくに「たかちゃん大好き」チームには去年4秒差の辛勝ですので、実力は同レベル。モチベーション低下は否めませんが、全力を尽くしてベストタイムをたたき出し、パドカフェ軍団に勝利することを目標に、気持ちを切り替えました。

 テストランでは、上記の改善策の妥当性の確認を実施。たとえば変えたばかりの漕ぎ方の確認や、コースの最期のほうにある右カーブの瀬の通過コースの選定なんかを行ってました。
 そんなこんなで思った以上に時間が経ってしまい、今一度タイム測定をと思って二本目を始めたのは14時半過ぎ。もう、水が引いてしまっていて、オトノリの瀬からして浅くて底を擦りながらの航下となってしまったのですが、何とか下れるし、これはこれで意外と面白い。
 タイムは結局35分台、一緒に下ったニートとミートは37分台。あまり参考にならなかったですが、少なくとも体力は十分に持つことが確認できました。人事を尽くしたあとはもう、天命を待つのみです。
2005年8月28日(日)
58 目覚め(北山川4)
水位:-m 気温:28℃(上北山) 天気:晴れのち曇り
区間:オトノリ〜小松
メンバー:Tetsuさん、カイチョー、王子

 ぼちぼち朝夕は涼しくなってきました。今朝の日射しもそれほど強くなく、秋めいた感じがします。
 最近の不安定な天候により中部地方各地は軒並み増水していて、今日みたいな日はまさに支流日和なのですが、来週、いよいよ北山川ラフティング大会が開催されるので、その練習を優先し、行き先は北山川にしました。

 9時過ぎにオトノリ到着。出発が6時ごろだったので、約3時間で着いてしまいました。新記録です。今日のメンバーは既に到着済み。Tetsuさんに相方のカヌマス会長と久々の王子です。Tetsuさんのクルマに乗り合いでやって来てました。
 今日はオトノリ〜小松区間を2本下るという計画を立案。
 1本目は流し。コース確認が主目的だったのですが、瀞場で競争しようということになり、オトノリの瀬が終わったところからスタート。
 スタートと同時に興奮したラナが飛び込み、私一人が出遅れる。リンクスTのTetsuさん、ピングキンのカヌマス会長と抜き、あとはEZGの王子一人なのですが、これが速くてなかなか差が埋まらない。そのうちに観光イカダに追いついてしまい、無効試合に。
 漕ぎ終えて周りを見渡すと、私一人だけが疲労困憊なのに気付く。そういえば先週の長良川ロングランでも私一人が疲れ果てていて、会長はそうでもありませんでした。
 何が違うのでしょう。カヌマス会長に漕ぎ方を聞いてみたところ、私と彼とに大きな違いがあることに気付かされました。それは、私がほぼ腕力のみで漕いでいるのに対し、彼は上半身のひねりを使って漕いでいるという点です。
 試しに取り入れてみました。アタマが左右にブレるのでしっくりこないですが疲労感はまったく違う。握力がなくなるということはなくなり、余力が残っているのでスイープもかけられます。問題は、速くなったかどうか疑問ということ。それに、大会直前で漕ぎ方を変えるというのは結構勇気がいるものですが、疲れてペースが落ちる現在の漕ぎ方よりも、一定のペースを守れそうな新しい漕ぎ方のほうが好タイムが出そうと判断し、変えることにしました。

 2本めはレースを想定してタイムを測って航下。今度はカヌマス会長とタンデムで。Tetsuさんは来週の大会には出ないのですが、その翌週の天竜の大会には出場するので、力量把握のため参加。王子は、ムササビで遊んでおくということで不参加。
 出発は13時半くらいにして、観光イカダに追いつかないように配慮し、我々の出艇一分後にTetsuさんが出艇という形でスタート。
 結果は、30分58秒でした。
 あれれ、去年のタイム(30分52秒)より遅いんですけど…。二人とも気落ちしてましたが、ラナが乗ってたから、その分遅くなったんでしょう!なんて言い訳してました。ちなみにTetsuさんは34分19秒でした。
 漕ぎ方を変えた成果が早くも出て、まったく疲れていません。何かを掴んだ感じがします。しかし、優勝を狙うなら最低でも29分台は欲しい。大会までに考えられるあらゆる改善策を出し合って、1秒でも縮められるように策を練りましょうということで今日は終了。

王子様。全然休みがないらしいです。

全力で5km漕ぐという体験はTetsuさんは初めてらしい。それで34分は立派だと思います。

王子、動物を虐待するの図。

王子、動物を虐待するの図2。
2005年8月21日(日)
57 (吉田川2)
水位:0.84m(旭) 気温:26℃(八幡) 天気:雨
区間:市島堰堤〜八幡大橋
メンバー:KROさん、7さん、カイチョー、ドラさん、くらもっち

(作成中)


2005年8月20日(土)
56 増水ナガラでトレーニング!(長良川9)

水位:1.03m(稲成) 気温:31℃(美濃) 天気:晴れのち曇り
区間:講話橋〜美濃橋
メンバー:KROさん、Tetsuさん、7さん、カイチョー

 増水ナガラです。
 稲成観測所水位が100cm台で下るのは去年の長良川WWF以来ですかね。そして水量でこの区間を下るのは、社会人1年生以来ですから、3年ぶりとなります。
 最近、このあたりは天気が不安定で、夕方から夜間に豪雨が毎日のように降りしきり、水位が全然下がらず、高いところで安定しているのです。なもんで水の色も笹濁りレベル。この水位だったらまっ茶色でもおかしくないのにね。しかし、四国では大渇水というのに、こちらは多すぎて逆に困る状態。難しいものですね。

 むちゃくちゃ身体がだるい。
 前日、会社の人たちとかなり飲んでいて寝たのは2時半で、起きたのは6時半。出発が7時を回ってしまい、集合時間の10時より30分遅刻してしまいました。みなさん、すいませんでした。
 さて、今日は来る北山川での大会を意識して、タンデムで航下したかったのですが、大会の相方・カヌマス会長は野球の試合で夕方まで合流できない。すると、KROさんがリンクスの前部に乗っていただけるとのこと。嬉しいなあ。
 一方、Tetsuさんも天竜川での大会をTakeさんと組んで「あひるブラザーズ」として参戦を決めており、タンデムで練習したいとのことでしたが、こちらは7さんとトムキャットで下るようです。

 さあ出発、というところでいつものように写真を撮ろうとすると、デジカメ(Optio WP)の様子がどうもおかしい。液晶から見える景色がやたら真っ白に光り輝いていて、ピンボケばかり。2、3枚撮ったところで、今度は真っ黒。何も写らなくなってしまいました。故障…? なんか水没っぽい壊れ方ですが、まさか、ね…。
 カメラをPFDのポケットに収納し、出発。しょっぱなの三段の瀬は去年のWWFのときみたく、えらいことになっていました。メインは避ける形でクリア。Tetsu&7のコンビは三ノ瀬を越えた後なぜか右岸のタコツボエディーに入っており、そこから本流に乗ろうとして、沈。リーンが足りなかった模様。
 ちなみに、緑のグラブナーに乗った単独行の人がほぼ同じ時間に出発していて、Tetsu&7のコンビと同様にタコツボエディーに入ってました。この水量で単独行って、私ではようやりません。相当の上級者なのかなあと思って遠目で見てましたが、エディーから出るのに手間取っていた模様。大丈夫かいな。

 ネコタチの下、リョウヅキの瀬はすごいことになってました。瀬のラスト、鋭角のストッパーに連続して被弾し、水ブネに。ノーコンになったフネがゆっくりと右に回転して横向きに。ヤバイ〜。右岸に流れがぶち当たっているところに張り付かないのを優先して、右岸のタコツボに直進。エディーキャッチしていったん漕ぎあがり、再度ストリームインで何とかクリア。この瀬、去年の台風で思いっきり形変わってから難度が確実に上がっているような…。
 いつも浅くて下りにくいセタラズは、今日はとても下りやすくなっていました。下り終えたところでトムキャットがまたも沈。二人とも右手側の瀬の流れに見とれていて、同時に逆リーンをかけた状態になったらしい。見とれ沈です。この二人、四国でも油断沈が多かったのですが、二人揃っても何ら変わらずかましてくれるのが面白い。
 どっかんは下見しました。迫力は強烈なものがありますが、よく見たら落差がなくなっていて、滑らかな滑り台のよう。怖いことは怖いけど、難度の面から言えば下がってますね。
 三叉の瀬は、3年前に下ったときの印象は恐怖しかなかったのですが、今日、改めて見てみると、確かに激しいが、コースの選択によっては問題なく越えられそう。
 我々は平水時と同じ左岸寄りコース、Tetsu&7のトムキャットは右岸寄りのコースを選択。
 左岸寄りコースは後半部がスリリングで水を被った岩がホールを形成していて、それを避けて漕げばクリアできそう。
 右岸寄りコースは前半部から面白そうなウェーブが立っていますが、後半部は瀬の入り口からは見えません。
 二艇ともここも問題なくクリアし、そのまま無事ゴールのリバーベース長良川へ。

 到着時刻は14時過ぎ。ふれあい広場でも結構休んでいたのですが、それでも2時間程度しか経っていません。
 夕方から合流する予定のカヌマス会長に電話してみました。
 16時ごろに到着とのことだが、北山の大会に備えて吉田川出合いから美濃橋まで下りたいというご要望。
 とんでもない申し出である。
 パドカフェメンバーなど強豪が参加することを噂に聞いていてもたってもいられないらしいが、体力的にも持つかどうか以前に、まず日没までに間に合いそうもないじゃないですか。ここリバーベース長良川から美濃橋までのコースでお願いしますよということで合意。
 しかしカヌマス会長、すごいやる気である。かつて7、8年前にラフトで共に出場したリバベンのときとは大違い。

 予定通り16時に到着し、勝原橋を発ったのは16時半ジャスト。KROさん、Tetsuさんに併走していただきながら、ノンストップ全力で美濃橋へ向かう。さっき下った三段〜勝原までの区間に勝るとも劣らず、かなり激しい。ベンツの瀬なんて、絶対メインコースは通りたくないと思うほど鬼のストッパーが立っています。
 これまで培ったKKDで直前で回避を繰り返しながら進むも、ベンツの瀬の下の名もなき瀬でフリップ。ホールをよう越えられませんでした。
 洲原神社あたりまで来ると、パドルを握る力がなくなってきて、腕が動かず、パドリングがかなり苦しくなってきました。これではフネも回せない。スイープを一度やるだけでかなり消耗します。
 へとへとに疲れながらも飛ばしに飛ばし、かつ立花の瀬のようなヤバイところはしっかり回避して、美濃橋に到着。タイムは1時間と12分でした。距離は12〜13kmくらいはありましたかね。握力がなくなるくらいにめちゃめちゃ疲れましたが、疲れているときにこそキツイことをやるのがいいんだ!というカヌマス会長の言葉になんとなく納得してしまい、明日に備えて21時に就寝。


この写真を最期に、カメラは逝ってしまいました。

Tetsu&7両氏の油断大敵コンビ。

小歩危を下りきった影響か、豪快なコース選択ばかり。

KROさんと漕ぐのって久しぶりです。

二本目。疲労困憊です。

聞けば会長も野球の試合上がりで相当疲れているようです。

出発!

どんなに疲れていてもカメラ目線は忘れません。

ゴールの瞬間。近くで水難事故が起こったらしく、周辺はレスキュー隊出動などで穏やかならぬ雰囲気でした。
2005年8月17日(水)
55 キーパーホール(奈良吉野川9)

水位:1.09m(五條) 気温:30℃(五條) 天気:晴れ
区間:梁瀬橋〜天理教教会下 メンバー:後輩1号

 天理教教会前のトイレは詰まって使えなくなっていました。その横にはゴミ箱が見えなくなるくらいに溢れ返るゴミの山。
 しばらくすると自治会の方がやってきて、軽トラにどんどんゴミを積み込み始めてます。トイレもキレイになって、使えるようになっていました。川に遊びに来る人の数が多すぎるにもかかわらず、この川がキレイに保たれているのは、こうした人たちの地道な努力のおかげなのだと改めて知る。

 今日はお盆休み最後の日。奈良吉野にやってきましたが、四国での五日間の疲れが残っていて、しかも出発前にビールを飲んだものだから、いざ漕ぎ始めても体に力が入らず、眠い。

 そんな最中に事件は起きたのでした。
 カルディアの入り口の瀬、水量の少ないときは中央より左岸は浅くて通れず、右岸側から回りこむようにして下るのですが、今日はいつもより微増しているので中央から入る。すると瀬の入り口に岩が水を被り、ホールを形成しているところがあったので、サイドサーフィンでもして遊ぼうと横向きに進入。
 すると、ものの見事にバランスが取れてしまい、瀬から抜け出せなくなってしまいました。右手が上流。右チューブがフェースにかかってどんどん水が入り沈み込むも、一定時間を越えるとフネの浮力で弾き上がり、また右サイドが沈み込むといったサイクルを繰り返す。もちろん、重心を思いっきり下流側に向けてのことです。ラナは捕捉されて二回目くらいに落水。自力で泳いで右岸に上がり、やってられんわとばかりに下流のエディーで待機している後輩1号さんのもとに行ってました。彼女、のんきに眺めているところをみるとどうやら遊んでいるとしか思っていないようです。
 2〜3分は続いたでしょうか。こんなに長時間捕捉されたのは生まれて初めてで、さっさと沈すれば脱出できるのでしょうが、ナラヨシで沈というのは先日無沈で小歩危を下りきったというプライドが許さない(笑)。以前からこういうときはホールの左右のアウトウォッシュに乗れば脱出できるとイメージしていたので、下流側に身体を傾けながらもフォワードで右岸側を目指して試みるも、予想に反してフネが全然動かない。体勢が悪いのでフォワード力が殺されているようです。ならばドローストロークでバックウォッシュを越えようとしましたが、これも徒労に。では第三の策と、今度は90度フラットスピンしてフネをタテにし、バックウォッシュの影響力を弱めようと試みましたが、これもうまくいかず。何とか回ったのですが、90度回転した状態を維持できずに吸い込まれ、180度回転した状態で再びつりあったのでした。今度は左手が上流側。
 しかし動くのはこの第三の策しかないと地道に回転を続けた結果、三度目のチャレンジでようやくアウトウォッシュに乗り、脱出。あ〜、怖かった〜。結局5分くらい捉まってたようですが、とてつもなく長く感じられました。

 体は相変わらずダルいですが、したくもない超ロングサーフィンでだいぶ温まったので動くようになりました。阿田橋の上の瀬で少し遊び、四国でのモリ君の紙一重の行為に触発されて泳ぐ練習をばと、芝崎の瀬を沈した状態で流されてみたり、天理教の瀬で遊んで今年の夏休み最後の日は終了。


芝崎の瀬を泳いで流されてみる。

こいつら、バカ?

後輩1号さんは天理教の瀬を泳いでました。

悠々とサイドサーフィン。私は死に物狂いでしたが。

チャコ焼け。ラナも対抗。
2005年8月15日(月)
54 四国遠征最後の日【夏休みin四国・五日目】(吉野川・大歩危3)

水位:0.65m(大豊) 気温:31℃ 天気:晴れ
区間:豊永〜まんなか メンバー:Tetsuさん、M君

 四国遠征も今日で最終日。
 昨日の小歩危チャレンジから一夜明け、すっかり灰と化してしまっていた私は、連チャンで小歩危を下るには少し気が重く、またTetsuさんが昨日瀬を下った際に腕を痛めていたらしく、また帰ることを考えると昼までには川から上がりたいなどという諸般の事情から今日は大歩危を下ることにしました。

 灰と化したと思っていたのですが、いざ漕ぎ始めると昨日の小歩危を下ったときの興奮がまだ僅かながら残っていたのか、再び燃え始め、やたらとアグレッシブな気分で、一昨日とはうって変わってあらゆる瀬で最も激しいルートを選択。ガンガンに攻めてしまいました。ラナにとってはえらい迷惑です。
 Tetsuさんはケガの影響を感じさせず順調に漕いでいましたが、ラピス大歩危の手前にあるレフトトリックと呼ばれる瀬で沈。M君はやっぱりおかしくて、豊永の瀬でわざわざ泳いでましたが、ここまでくると紙一重ですなあ。

 13時ごろ、無事にゴール。大粒の雨が降ってきました。渇水が深刻な四国地方もこれで少しは潤うといいのですがね。帰りは渋滞に巻き込まれながらも、すでに夏のボーナスもすっからかんなので原則下道で。

 今年のお盆休みは去年と比べると、単独行でなく複数での行動だったこと、初めて下る川がひとつもなかったこと、移動距離が比較的少なく、3日も同じ場所に滞在していたという大きな違いがあり、単独行による緊張感や初めて下る川と出会ったときの新鮮さ、色んな川を巡ることによって感じられる変化という面では乏しかったのですが、小歩危という私のカヌーライフにおける最大の目標の一つをクリアできたことで、去年と比べて勝るとも劣らない最高の休日を過ごせたと思います。それにしてもラナもTetsuさんもみんな大きな事故もなく無事でよかった、よかった。


M君は将来きっと名を馳せそうな気がします。

国境の瀬。

レフトトリックで沈。Tetsuさんの連日の沈は久々に見ます。
2005年8月14日(日)
53 憧れだった川【夏休みin四国・四日目】(吉野川・小歩危1)
水位:0.63m(大豊) 気温:31℃ 天気:曇り
区間:まんなか〜川口 メンバー:Tetsuさん、カイチョー、M君

 カヌーを始めたのは今から9年前、大学一回生のときでした。その翌年からはラフトにも乗り始め、北山や水上、大歩危・小歩危といったいわゆる激流と呼ばれる川を一通り経験し、以降、ホワイトウォーター中毒化が進みます。はっきりとは言えませんが、思えばこの頃からですかね。漠然としながらも、憧れというか目指す姿というのが次のように見えてきました。

 @ カヌー犬とツーリングする。
 A 100の川を下る。
 B ダッキーの草レースで優勝する。
 C 小歩危をダッキーで下る。


 @は今から2年半前、ラナと出会うことによって実現し、現在に至っています。当時は仁淀川とか四万十川とかを一週間くらいゆっくり時間をかけて下りたいと思っていたのに対して、長良川とか北山川とかカヌー犬なんて一匹もいないような川ばかりになってしまい、ちょっとズレてしまってますが…。
 Aは現在も継続中です。現時点では確か51本でしたかね。10年目にしてちょうど折り返し地点というところ。
 Bは7年前に北山川ラフティング大会のダッキー部門にカヌマス会長と出場して以来、こちらも執念深く続けています。現在はリバベン(水上)、北山川ラフティング大会、天竜川WWF, 長良川WWFのすべてで優勝するのが目標です。
 そしてC。カヌーを始めて10年目にして、ソロのダッキーで下る日がいよいよやってきました。

 小歩危との出会いは8年前にラフトで下ったのがきっかけでした。ラフトを初めて3ヶ月という初心者同然のレベルで川は増水気味だったのですが、もちろんマトモに下れるはずもなく、曲戸の瀬なんかでは水ブネ状態でピンボールのように岩に弾かれては回転の繰り返しでなされるがまま。当時はラフティングがブームになる前で川には誰もいません。よく死ななかったものだと思います。このとき、いつか完全にコントロールして下れるようになりたいと思ったのでした。
 ダッキー購入後はダッキーで小歩危を下りきるのが目標となったのですが、実は一度だけ下ったことがあります。今から4年前の夏のことです。当時私は大歩危でラフティングガイドやってましたが、そこの先輩のTakumaさんとタンデムで下りました。が、結果は惨たるもので、沈4回。とくに曲戸の瀬では奈落で転覆し、ホールで巻かれて沈み込まされたせいで水をたらふく飲まされ、呼吸がまともにできなくなってしまい、心が折れてしまうという屈辱を味わされたのでした。川を下って心が折れたのはこのときが初めてで、以後トラウマとなります。

 そんなこんなでこの小歩危というセクションは、私が川と関わりを持った比較的初期から何度か接触しつつも、まともに下れたことのない区間で、ここを下るというのは特別な感情が心中を去来するのです。雪辱とか挑戦といった気持ちが強いですね。
 いよいよ、開幕。
 今日の水量は63cm(大豊)。昨日とほぼ同じで、この時期の平均から見れば少な目の水量ですが、ダムからの放水がなくなったということはなさそう。相手にとって不足なし、です。
 いつも一緒のラナは今日に限ってはさすがに連れていかないことにしました。カヌマス会長の嫁さんと一緒に、会長のエクストレイルでお留守番です。
 プットイン地点のまんなかを発ったのは13時ごろ。小歩危はコマーシャルラフトカンパニーと漁協との協定で通過時間が設定されておりまして、曲戸の瀬は14時半、鮎戸の瀬は15時と決められています(各通過時間の前後30分ずつは許容範囲)。コマーシャルではなく個人の趣味で下る分にはそうしたルールを守る義務はないし、川がこんな冷たく濁りきった状態で釣りをする人間もいなかろうとは思うんですが、もし釣り師がいたとしたら、トラブルの種になりかねない。お互い気まずい思いはしたくないということで、どこかのコマーシャルラフトに追い付くか、もしくは大滝の手前までは原則スカウティングなしで先を急ぐことにしました。

 やがて前方左岸側にウェストが見えてきました。これが見えたらまもなく鉄橋の瀬が現れるはずです。いよいよ来たか〜。否が応でも胸が高鳴ってきます。
 ところで、カヌマス会長もカヤックで下るのは実は今日が初めて。彼も小歩危を下ることを自身の目標としています。8年前ラフトで下ったとき一緒だったメンバーがこうして同じ日に同じ目標にチャレンジするというのもなかなか乙なものです。

 ウェストを過ぎると 鉄橋が見えてきました。いよいよ六大瀬のしょっぱな、鉄橋の瀬です。下った回数の一番多い私が一番手で、その後ろに会長、Tetsuさん、M君が続く。ここで沈してはトラウマのこともあるし、今後の士気に関わるのでより慎重にコース取りをする。ゆっくりと右にカーブしている瀬で、メインカレントは左岸側。というわけで比較的流れの弱いインコースの右岸側を狙って漕ぐ。
 無事、通過。ですが、やはり迫力は大歩危よりワンランク上です。しかしこの瀬、小歩危の中では悪魔超人でいえばステカセキングのレベル。序の口です。この先の瀬はもっと集中力を高めて臨まなければ…。
 カヌマス会長、Tetsuさんは右岸寄りで突破。M君は果敢に左岸の本流コースを取り、そして沈。
 川の水は大歩危の豊永と比べると随分温くなっていました。流れるうちに陽射しで温められるんでしょうか。それとも支流の温かな水が混ざるからでしょうか。いずれにせよ、北山川くらいの冷たさかな。これなら一度くらいの沈なら耐えられそうです。

 次は森囲いの瀬。ここは4年前Takumaさんと下ったとき、豪快にフリップして流された瀬です。前半の瀬のラストに超巨大なドロップがあったのを覚えていたので回避ルートを事前に下見したかったのですが、あいにく時間がありません。カンでいくしかない。瀬の入り口から右岸側に抜けるようにコースを取った結果、ドロップが崩れて滑り台のようになっている箇所を発見。イメージどおりにトレースできました。
 後ろを振り返ると、三人ともほぼメインの中央突破コースを選択。ところどころでフネが止まっているのはストッパーに被弾したんでしょう。このような箇所は水ブネになってノーコンになるダッキーはカヤックと比べて圧倒的に不利。Tetsuさんは大丈夫かな〜と見ていると、見事に無事脱出してきました。とてもダッキー始めて1年には見えません。
 森囲いを見事に突破したTetsuさんは、しかし次の名もなき瀬であえなく轟沈。油断沈とはいえ、小歩危は六大瀬以外にもプレ鮎戸とか十二分に怖い瀬があり、このような「名もなき瀬」でも結構すごいのです。

 次は二段の瀬。落差大のドロップが二連続という比較的短い瀬ですが、ホールの形がいやらしく、ラフトのフリップ率は結構高いという瀬です。これは昨夜小歩危のDVDを鑑賞することでコースをしっかりと覚えこんでいたおかげで落ち着いてコース取りができ、無事クリア。予習までした甲斐があったというものです。他三名も難なく突破。
 二段目のホールでは大勢のカヤッカーがスポットに勤しんでました。カヌマス会長も一度だけといって並んで入っていきましたが、案の定ろくに乗れずに帰ってきました。ただ本人曰く、あの小歩危の二段で少しでも遊んだという事実こそが大事なのだと。

 少しの間漕いだところで前方に大量のラフトボートを発見。ようやく追いついたようです。大滝のふもとに至り、いったん上陸。大勢のラフトのお客さんを尻目にスカウティングします。ギャラリーが多いと悲壮感は薄れますが、やりにくい。ラフトボートとカヤックを合わせてゆうに10艇は越えてますね。
 大滝は、大きく分けると二段に分かれ、右岸寄りの一段めを越えたところで大きく左にカーブしたところに二段めが控えるという構成。この二段めがおそらく大滝という名前の由来でしょうが、シャレにならんくらいのホールを形成してます。
 下見した結果、一段めを正面突破し、そこから右岸アウトコースギリギリに沿って、二段めを回避するという作戦を設定。
 緊張してきましたが、ラナがいないので沈してもいいやと思うと気が楽になってきました。今回はカヌマス会長&M君が先鋒。下見中に通過したカヤックがやっていた一段目後のエディーキャッチをやりたかったらしい。で、結果はエディーに近寄ることもできず、バランス崩して二段目で沈。嫌なものみたなあ。
 気を取り直して突入。
 一段めは予想以上に大きいストッパー。体勢を崩すまじと前方にパドルを挿す。突破すると同時に右岸側のアウトコースをキープ。二段めを回避すべく右岸ベタを狙ってバウを右に寄せる。滑り込むようにそのコースへ入り、クリアしたかに見えましたが、どうやらボイルラインにカスっていたようです。喜んだのもつかの間、フネがホールにどんどん引き寄せられる。想定外の事態に対応が遅れ、フネが横を向いてしまい、マトモに漕げない。ドローストロークで圏外へ出ようと必死になってもがく。途中でストラップが片方外れ、無様なカッコになりながらも何とか脱出に成功できました。
 かすっただけでこの威力とは、げに恐ろしい…。まるでハリケーンミキサーです。
 Tetsuさんは一段めで沈した模様で、身体一つで流されてきました。幸いにも右岸ベタルートに乗っていて、ホールに巻かれずに済みました。

 次は曲戸の瀬。ここもスカウティング。大滝との大きな違いは、核心の「奈落」と呼ばれるドロップが瀬の前半にあり、しかも回避不可ということ。ただ、左右どちらかに寄せることで直撃を避けることはできます。
 ラフトを数艇見送って参考にした結果、左ルートを選択することに決定。4年前、心を折られた因縁の瀬です。私にとって小歩危を下るということは、この曲戸の瀬を下りきることなのです。
 去年のトカゲ台風で右岸側のラップ岩が消滅し、難易度は確実に下がっていますが、最大最長の瀬であることには変わりはありません。意を決して、パドルを入れる。
 本流は右岸寄り。一段目を抜けた時点で右岸にいったんエディーキャッチして体勢を整える。二段目は左手にある岩に沿うように抜ける。岩に当たって落ちる流れと本流が複合して複雑な波を形成してますが、ここで沈すると身一つで奈落へ向かうことになるので慎重に漕ぐ。
 二段目の次は核心の奈落。抜けると同時に左岸側に寄せ、奈落の左側コースを確保。奈落のメインの落ち込みと左端の隠れ岩との間に僅かな窪みが見える。そこを狙って漕ぐ。
 ここまでのコース取りはイメージ通り。あとは落ちるのみです。
 いよいよこの時が来たという感じです。今度は越えられるのか、はたまた4年前の悪夢の再現となるのか−。
 バウを少しだけ左に向け、勢いをつけて突入。
 ドン!という鈍い音と共にフネが一時停止。眼前は真っ白で何も見えない。はっと我に返ってひたすら前に漕ぐ。無事、抜けたようです。
 奈落は抜けても、以前心を折られた原因となったホールはこの下。油断は禁物と今度は左岸から中央に寄せるようにひたすら漕ぐ。途中で現れるストッパーウェーブのパワーは半端ではなかったですが、奈落のようないやらしさはありません。基本に忠実に、まっすぐ漕ぎぬけ、無事右岸側のエディーへ到着。
 やった。
 エディーで待機し、後続を待つ。カヌマス会長も無事に下りてきました。Tetsuさんは油断したか、最後の落ち込みでフリップ。今日3度めの沈ですが、いずれも急所は外れているのでダメージは浅い模様。その証拠に、流されているときの顔が笑っています。M君も小歩危は初めてのはずなのに、自らあえてウェーブ、ホールに飛び込むという猛者ぶりでした。それだけに沈の数は最多ですが、都度涼しげな顔でリカバリーしてます。こいつは間違いなく大器です。社会的にはニートですが…。

 プレ鮎戸を乗り越えた後は、いよいよ地獄の断頭台の待ち構えるラスボス・鮎戸の瀬へ。ここをクリアすれば、無沈はほぼ確定です。「完封」の二文字が脳裏をよぎりました。
 鮎戸の入り口は2ルートあって、アウトコースに相当する右岸側は比較的傾斜が緩やかで、いわゆるチキンコース。ちなみに後半部は回避不可なので正面突破しかありません。
 無事故無違反が信条の安全ドライバーたる私は、迷いながらもチキンを選択しました。
 が、会長の一言。
 「チキンで行くんですか? そんなんで無沈やったって言えるんですか?」と。
 二段の瀬で言ってたことと違うぞと思いながらも、首を傾けながらそう突っ込まれるとヒーローコースを選ばざるを得ません。
 ヒーローコースは、落差が急なのに加えて、ストッパーが航下ルートの左サイドから押し寄せてくるのがいやらしい。沈すると後半部は身一つで流されることになります。曲戸の瀬ほどではないにせよ、ここも長いので相当苦しそう。
 しかし最後の瀬です。仮にここで沈したとしても何とかゴールまで辿り着けそうだと考えると、曲戸の瀬のときのような悲壮感はありません。
 突入。
 アタマからまるまる飲み込まれそうなストッパーが三方から迫る。勢いをつけて、ストッパーに対して斜めにならないように気をつけながら飛び込み、突破。しかしフネは水浸しに。その状態で直下にもう一発。しかも左手からです。思いっきり右パドルを入れ、バウを左に向けて突入。何がなんだか分かりませんでしたが、抜けてました。4年前ナチュラルサーフした後半の瀬も二連発。これも無事に乗り切り、なんとかクリアできました。後続の三名も無事クリアです。

 久保瀬、銅山川出合いの瀬を越えると、眼前に川口の駐車場が見えてきました。陸でお留守番してもらっていたHさんとラナが見えます。待ち望んでいたゴール地点です。
 カヌーを始めてから9年、ラフトで初めて下ってから8年、ダッキーで初めて下ってから4年。ずっと畏敬と恐怖の対象であり、そして憧れだった川を下るという日を今日にしてようやく迎えることができました。
 やっとここまで来たなあという感じです。しかしその間いろんな川を下り、いろんな人と出会ったことによって、小歩危は必ずしもナンバーワンではないことを知りました。そもそも今日の水量は少なめですしね。まだまだ通過点というところです。思い出しましたが、私が過去心を折られたのは二回あって、一回目はこの小歩危、二回目は諏訪峡(奥利根川)でした。次なる目標は雪解けの水上にリベンジというところに設定したいと思います。

 ・走行距離(累積):865km
 ・交通費(高速・ガソリン):\3,900
 ・食費:\1,500


97年7月29日当時の写真。場所は鮎戸の瀬。左後が私で、左前はなんとカヌマス会長。怖くて誰も漕いでいない(笑)。

今日も見つけました。Tetsuさん曰く、ミヤマクワガタらしいです。私はクワガタと言えばコクワとノコギリしかみたことがありません。

ウェスト。ここからいよいよ小歩危セクションスタートです。

鉄橋の瀬。

森囲いの瀬。

名もなき瀬でTetsuさん沈。

二段の瀬。今日の水量ではプレイスポットらしい。

大滝。ラフトも飲み込む巨大ホールがあります。

大滝一段目。カヌマス会長は写真のカヤックのいるエディーに入りたかったらしい。

曲戸の瀬、奈落! ラフトが沈み込んでます。

上流から見た曲戸の瀬。二段目突入直前。

奈落突入の直前。

奈落にダイブ!必死でした。

下流から見た曲戸の瀬。漕いでいるのはTetsuさん。

最後の落ち込みであえなく撃沈。

プレ鮎戸の瀬入り口。結構怖い。

鮎戸の瀬。

突入の瞬間。

一発目を突破!

二発目に臨むも、水ブネ状態でピンチ。

鮎戸の瀬の後半部。Tetsuさん見事にクリア。
2005年8月13日(土)
52 天王山前哨戦【夏休みin四国・三日目】(吉野川・大歩危2)
水位:0.65m(大豊) 気温:31℃ 天気:晴れ
区間:豊永〜まんなか
メンバー:Tetsuさん、7さん、カイチョー夫妻、M君

 早朝、7さん到着。この方、この日のためだけに岐阜から四国入りというすごい人です。
 Tetsuさんも私も早起きタイプなので、7時頃にはごそごそ動き始めるも、上には上がいるようで、キャンプ地の岩原から5時起きで漕いできたというカヤックの集団が上がってきてました。その中に以前北山(47回目)で漕いだときにもお会いしたラフトガイドの方がいて、その方から教えてもらったのですが、現在早明浦ダムではほとんど水がない状態のため、放水されているのはダム底辺の水で、おかげで川の水は相当汚いうえに冷たいとのこと。この上なく汚いなあというのは初日訪れた際に一目見てすぐ分かりましたが、それがダムの底水によるものだとは知りませんでした。なんか色んなモノが沈殿して腐りきった色してますが…。しかし、こんな冷たく濁った腐り水を流されて、川に棲む生き物はたまったもんではないでしょうに。きっと魚も釣れないでしょうね。

 8時に豊永へ。今日は大歩危を2回漕ぐ予定。午前中に豊永からまんなかまでのフルコースを下り、午後はカヌマス会長らと合流し、豊永から岩原までのショートコースという内訳です。ここで心の準備をしておいて、明日は長年の目標であった小歩危へいよいよ繰り出す、という段取りです。今日はいわば来るべき天王山を控えての前哨戦という位置づけですね。

 昨年の台風で破壊されたプットイン地点への道は補修されていましたが、まだ土を入れたばかりで固めていないので車両での立ち入りは禁止。ということをこれまたラフトガイドの顔見知りの方と偶々出会い、教えてもらいました。合わせて早明浦ダムの放水は今日限りかも、とも。ということは、明日下る予定の小歩危は中止? と思えばそうでもなく、放水がなくても何とか下れる水量はあるそうで、コマーシャルラフトも通常通り営業するとのこと。むしろ弱って下るにはこの上ないチャンスかも…。敵が弱ったところを攻めるのは戦略の定石ですから。

 9時ごろ出艇。ダムの底で長年眠っていた水は、雪解け水のように冷たい。今、夏も盛りなんですけど、水が冷たすぎてはっきり言って寒い。昨日の四万十川が温泉ばりの温さだったこともあって何も考えずにいつもの装備で下ろうとしたのですが、迂闊でした。Tシャツの上にラッシュ1枚という装備ではムリです。泳ぐことは著しい体力の消耗を意味するので、沈はマズイ。5月末のリバベンのときに下った水上峡ばりの緊張感を肌に感じました。
 轟音を立てて叩きつけるように流れる水は、錆びた鉄のような色をしていて、舐めると鉄の味がしそう。ただ、口の中に入れる気はしません。底に溜まってた水って、どんな成分が含まれているか分かりませんし。

 いろんな意味で絶対落ちられない一戦となったこの日のダウンリバー。なのに、しょっぱなの豊永の瀬でいきなりラナが落水。瀬の最後のストッパーウェーブにぶち当たってフネがパンと跳ねた際に落ちたようです。すぐに救助できましたが、焦る飼い主の心配をよそに、この犬、瀞場になるたびに自ら飛び込んで泳いでいます。この雪解けのような冷たさをもってしても、彼女を泳がせるのを止めることはできないようで。もはや超人の域に達しているようです。
 しかしそれにしても、フネから落水するの、先週のナガラ、昨日の四万十に続き今日で三度目です。猿も木から落ちるとはいいますが、ちょっと多いかな。まあ、川が川なんですけど。

 大歩危コースメインの三段の瀬、国境の瀬を無事に通過。国境を過ぎれば後は楽勝かな…、そう思って次の瀬を漕いでいると、ラストに結構大きなホール。そうだった。大歩危は「名もなき瀬」でも結構キビシイのがたくさんあるのでした。油断は禁物。気持ちの緩みは即沈につながると気持ちを戒めたところで後ろを振り返ると、7さんがフリップ。同じことを考えて油断してたんですかね…?
 その後、7さんはオーバーハングの瀬でも沈。ここも最後にえぐいドロップがありました。7さん、足が攣ったため(沈の前か後かは不明ですが)ここで休憩。よく考えたら午後のことを考えてノンストップの強行軍でしたからね。

 その後は何事もなく無事にゴールへ。見事なまでに予定通り、12時半過ぎに再び豊永に到着。カヌマス夫妻とM君はすでに到着していました。
 二本目を下る準備をし、クルマの回送をすべくプットアウトの岩原に向かおうとすると後ろを走っているはずのTetsuさんから電話。何事かと思えば、なんと脱輪したらしい。
 川から道路に上がる道で、前後輪とも側溝にはまってました。こういうとき、どうしたらいいんでしょう。みんなで前輪タイヤの下に角材や岩を敷き詰め、浮き上がれるきっかけを作り、後ろから押してみたのですが、うんともすんとも言いません。う〜ん。
 途方に暮れていたとき、救いの手を差し伸べてくれたのは、例のプットイン地点への道の工事をしていた方々でした。鋼のワイヤーをクルマに引っ掛け、牽引用ロープで繋ぎ、ユンボで一発。いや、助かりました…。こういうとき、見ず知らずの他人の優しさというのは本当に嬉しい。気持ちを形にするのは難しいのですが、とりあえずの気持ちということでTetsuさんはビール1ケースを手渡してました。

 気を取り直して2本目。私はカヌマス会長の嫁さんを前に乗せて下ります。で、旦那はカヤック。何か、おかしいような気もしますが…。
 カヌマス嫁のHさんはラフトは客として何度か乗ったことがあるらしいですが、ダッキーは初めてという素人さん。となると、私はほとんどコマーシャルのガイドとして漕がないといけなくなります。金取りたいくらいです。
 Hさんはあまりアウトドアというタイプではないので、沈は厳禁、アグレッシブなコースもいかんと気を配って下ってましたが、こういうときに限って沈するもので、三段の瀬で痛恨のフリップ。あ〜れ〜、と2人と1匹は洗濯機でもみくちゃにされるように流されるのでした。心が折れていないのが幸いでしたが、これでカヌマス会長に料金を請求できなくなってしまいました…。
 しかし明日の天王山決戦にも不安が残る終わり方でした。1本目での沈だったらまた気持ちも違ったのでしょうが、今さら言ってもしょうがない。泳ぐ練習ができたと前向きに捉え、明日は全力を尽くしてトライするのみですね。

 ・走行距離(累積):800km
 ・交通費(高速・ガソリン):\0
 ・食費:\1,350

知ってますか?ナナフシです。生まれてこの方見たのが二回目という超レアな昆虫です。

三段の瀬!

これも三段の瀬。7さんストッパーに被弾の図。

初めてのTetsuさんは緊張しきりだったが、この三段の瀬を無事越えたあたりからいつもの笑顔に。

国境の瀬。ここではすでに笑顔で下ってました。

浅いので左岸から中央に抜けるルートを選択。

国境の瀬のあとの名もなき瀬で7さんが沈。雪解けレベルの冷たさなので相当応えたはず。

本日二本目。この後三段の瀬でよもやのフリップ。すいませんでした…。

雪解けの冷たさでも平気で泳ぐラナ。

キャンプは岩原の川原で。虫の少ない、いいサイトです。
2005年8月12日(金)
51 四万十の湯【夏休みin四国・二日目】(四万十川1)

水位:-0.39m(大正) 気温:31℃ 天気:快晴
区間:リバーパーク轟〜二艘の瀬 メンバー:Tetsuさん

 盆休み二日目は四万十川へ。といっても一般的なツーリングコースである江川崎から下流ではなく、そこからもっと上流の土佐大正から下りました。何だかんだで三年連続で来てしまってます。
 大正観測所の水位は、-0.39m。ここも渇水です。去年下ったときの水位が-0.18mだったから、さらに20cmも少ない。ちなみに二年前が+0.6mあったことを考えると、1mも違います。
 この水量で下れるのか、いささか不安でしたが、とりあえずやってみよかということになりました。
 プットインは去年と同じ轟の瀬。でもって去年はソロかつワンデイで十川駅まで30数kmという超ロングコースを図らずも下り、相当疲れたのですが、去年よりさらに水量の少ない本日はプットアウト地点を二艘の瀬の下に設定しました。距離にして15km弱くらいかな。

 プットイン地点の瀞場で川に浸かってみると、水はとっても温い。感覚的には昨日の仁淀川以上。ここまで生温いともはや川とは呼べず、温泉に入っている気分すら感じます。四万十の湯ですな。
 といっても、ゆったり温泉気分にも浸っていられなくさせるのがしょっぱなの轟の瀬。去年、相当ドキドキして下った記憶があるので、今回も入念にスカウティング。結果、最大の難所である最初のドロップは、去年と同じ左岸から二本目から落ちることに。去年見たときは右岸側から二本目が最も下りやすそうでしたが、浅くて通過不可でしたので。
 最初はTetsuさんがチャレンジ。怖気づく様子もなく、難なくクリア。去年の初対決では私、結構緊張していたのですが…。
 続いて私。最初のドロップを落ちた時点でフネがつっかえて止まってしまう。コースの幅が狭すぎるのです。リーンでフネを傾けると動き始めましたが、少し軽くなったような違和感。
 …後ろを振り返ると、果たしてラナが落水してました。その間にもフネは流れに押し出されてズリズリと狭い隙間を抜け、最初の落ち込みを強引に突破。即座に左手を背後に伸ばしてラナを回収。引き上げた後、浅い左岸側コースを避けるべくあわてて右岸側に移動し、クリア。
 ここまでの動きができたのは、ひとえにフネの動きがスローリーだったためです。渇水のため、見た目ほど流れが強くないんですね。南国といえばのんびりしたイメージがありますが、今日の四万十川は轟の瀬でさえも南国モードの模様です。

 底を擦りながら漕ぐこと2時間。いよいよ本日のハイライト「二艘の瀬」にやってきました。これまでの瀬は1クラスダウンのものがほとんどでしたが、この瀬はさすがに腐っても鯛というか、渇水でも迫力があります。
 下見してコースを確認した後、Tetsuさんからチャレンジ。二段目の落ち込みあたりで減速したのを見て、よもやと期待するも、無事にクリア。成長著しい勇者を倒すには、もはやこのクラスの瀬ではダメのようです。明日対戦の横綱・吉野川に期待するしかないですな。
 次に下った私は去年と同じ轍を踏まぬよう、前傾を心がけて進入。それでもバウが跳ね上がり、後ろに逸らされそうになりましたが、何とか持ちこたえ、クリア。せっかくなのでTetsuさんのリンクスTを借りて、もう一本下ってみました。

 スタートしてから約3時間でゴール。着替え終わった後、二艘の瀬沿いにある二双茶屋にて昼食を取りました。メニューはおにぎりとうどんと焼きそばと少ないですが、作りが丁寧で結構おいしい。テナガエビもついてたし。
 二双茶屋から大豊ICまで移動。案外早く、2時間で着いてしまいました。明日からはいよいよ日本最大クラスの激流・四国三郎吉野川を下ります。

 ・走行距離(累積):720km
 ・交通費(高速・ガソリン):\2,950-
 ・食費:\1,400-


轟の瀬入り口。岩に挟まれてフネがつっかえる。

フネを傾けて脱出すると…。あれ、ラナがいない。

ラナを回収。急いで右岸寄りへ漕ぐ。

絶対泳ぎたくないランキング上位間違いなし。二艘の瀬

勇者Tetsuさん、笑顔で突破。

しかも魚まで獲ってました。すげー。
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